2024年6月17日月曜日

教養入門ゲスト講演 山口香先生 「スポーツの多様な価値を考える」

  「スポーツの科学」などを担当している遠藤愛です。

  6月12日(水)に、1年生を対象として開講している教養入門では、ソウルオリンピック女子柔道銅メダリスト、筑波大学山口香教授をゲスト講師にお迎えして、スポーツの持つ多様な価値について講義をしていただきました。

 山口先生は、スポーツは社会の縮図であり、スポーツからもっと発信したい、時代の先を行きたいという思いのもとに、スポーツを通して自己規律性を学ぶこと、競技力向上には多様性が必要であること、積極的に世界に出て多様な文化・人材と正しく競い合い、異文化を学び吸収することもまたアスリートとして、さらに人として成長していくという主張を、実社会と関連づけてパワフルにお話しされました。



 受講生からは、「私たちの普段の社会生活の中でも日本の中で留まるだけでなく外を見て自分たちの何を伸ばすべきなのか知ることができればスポーツと同様、社会も変わると思う」、「スポーツをすることで身につけられる力は無限大であるので、それが現代の社会でも引き継がれると思うと希望を持てます」、「『いずれ才能は努力に越される』という言葉が心に響きました」などなど、多くの感想が寄せられました。競技者として世界のトップで活躍され、引退後は競技スポーツのど真ん中からスポーツの素晴らしさだけでなく、スポーツ界の体質にも言及した先生の発信は、学生の心にも響くメッセージだったようです。

 最後は、改善すべき点は多々あるけれど、でもスポーツって素晴らしいよねというメッセージを込めて、先生がとても好きだとおっしゃった動画で締め括られました。その動画にはメディアで取り上げられるスーパースターは1人も出てきませんが、先生のスポーツへの想いを感じる映像でした。

 山口先生、貴重なお話をありがとうございました。



2024年5月21日火曜日

センターコロキウム「田中昌弥教授:私の研究遍歴」

 「心理学」他担当の寺島です。

 5月15日、センターコロキウムを開催しました。今回は、2024年度に全学共通教育センターに新たにご着任された教育学がご専門の田中昌弥教授に、ご自身の研究のご紹介をいただきました。

 田中先生は、臨床教育学の角度から教育学を再検討する研究に携わってこられました。臨床教育学とは、教育をめぐる諸課題について、個人や家庭の問題に還元するのではなく、地域や社会、制度のあり方から教育観までを再考する学問であると、ご説明されていました。

 近年では、特にナラティブ(物語)を教師や子どもの経験や生を理解する手がかりとするナラティブ的探究(Narrative Inquiry: D. Jean Clandinin他)を用いて、研究を行っていらっしゃいます。最後に、隣接諸学で展開しているナラティブ論との接続による総合人間学の構想についても、お話しをいただきました。

 ご講演では、難しい専門的な内容だけではなく、時折ユーモアも交えながら、率直に様々なお話をしてくださいました。まさに、東京経済大学にいらっしゃるまでの田中先生のナラティブ(物語)を伺う貴重な時間となりました。

 私が専門とする臨床心理学もナラティブ論を展開する隣接諸学の一つになります。田中先生の構想される総合人間学は、まさに自然科学から人文科学まで幅広い専門領域のある全学共通教育センターならではの学問であると感じました。

 以上、「心理学」他担当の寺島瞳がレポートいたしました。


2024年4月5日金曜日

「総合教育ワークショップ」と「英語で学ぶ教養」のご紹介

 今回は、全学共通教育センターが開講する2024年度の「総合教育ワークショップ」と「英語で学ぶ教養」という授業を紹介します。

 なお、前回の記事で紹介した「教養入門」と「教養ゼミ」は、1年次のみしか履修できせんが、今回紹介する「総合教育ワークショップ」と「英語で学ぶ教養」は、1年次だけでなく、2年次以降も履修できます。

「総合教育ワークショップ」
 様々な教養系の分野について、双方向的な授業形式で学ぶ、定員が20~40名の科目です。半期科目で、同一年度に1科目だけ履修できます。授業形式・内容とも多様なものを用意しています。2024年度に開講される総合教育ワークショップの授業表題は以下の通りです(表題をクリックするとシラバスを読むことができます)。


「英語で学ぶ教養」
 英語を使って教養系の諸分野の内容をゼミ形式で学ぶ、定員15名の半期科目です。2024年度に開講される英語で学ぶ教養の授業表題は以下の通りです(表題をクリックするとシラバスを読むことができます)。


 なお、上記は、4月5日現在の情報です。今後、変更になることもありますので、ご注意ください。

2024年3月30日土曜日

「教養入門」と「教養ゼミ」のご紹介

  前回の記事で、全学共通教育センターが開講する「特別授業」を紹介しました。今回は、全学共通教育センターが開講する2024年度の「教養入門」と「教養ゼミ」の紹介をします。なお、今回紹介する科目は、1年次のみ履修できる、大学4年間の学びの入門となる授業です。

「教養入門」

 「教養入門」は、1年次の1期に開講される、3名の教員が交代で担当するリレー講義形式の授業です。この講義では、いま求められている「教養」の意味について、各教員の問題関心や専門領域を切り口として論じるものです。以下は、2024年度に開講される教養入門のシラバスへのリンクです。

 ・教養入門(水1)
 ・教養入門(水2)

  
「教養ゼミ」
 「教養ゼミ」は、1年次の2期に開講される演習形式(ゼミ形式)の少人数授業です(定員15名)。教員それぞれの専門分野を活かした内容で「読み・書き・プレゼンテーション」の基礎的な力を高め、2年次以上のゼミ学習の入門としています。2024年度に開講される教養ゼミの授業表題は以下の通りです(表題をクリックするとシラバスを読むことができます)。


 なお、上記は、3月30日現在の情報です。今後、変更になることもありますので、ご注意ください。





2024年3月26日火曜日

2024年度「特別授業」のご紹介

  新年度の授業履修登録の時期が近づいてきました。今回は全学共通教育センターが開講する「特別授業」をご紹介したいと思います。

 「特別授業」とは、「卒業要件表」には載っていない、通常のカリキュラムとは別の授業のことで、「特別講義(特別企画講義)」と「特別語学」の二種類あります。特別授業は、今学んでほしいホットな内容を扱いたい場合などに、期限付きで開講するものです。

 2024年度、全学共通教育センターでは以下の「特別講義」を開講します(科目名をクリックするとシラバスを読むことができます)。

「特別語学」とは、2~3年の期限付きで開講される語学の授業です。東京経済大学では、毎年開講される常設の語学科目として「英語」、「ドイツ語」、「フランス語」、「スペイン語」、「イタリア語」、「中国語」、「朝鮮・韓国語」、「日本手話」を用意しています。これら常設の語学科目とは別に、2024年度は、下記の3つの特別語学科目を開講します。語学科目では、言語そのものだけでなく、その言語に関連する文化や歴史、社会などについても学びます。

 以上、全学教育共通センターが提供する特別授業の紹介でした。各学部の専門科目にも特別授業があります。特別授業は、今、学んでほしい科目ですので、履修の候補として検討してもらえればと思います。

 なお、上記は3月26日現在の情報です。今後、変更になることもありますので、ご注意ください。

2024年3月14日木曜日

横畑知己教授の“最終講義”

 2023年3月12日、全学共通教育センターのコロキウムが開催され、今年度で退職される横畑知己教授の“最終講義”が行われました。教育史を専門とされる横畑教授は1991年に着任後、実に32年間、本学での教育に携わってこられた先生です。教職課程もご担当されていたので、多くの教育者も育成されました。

 コロキウムでは、ご自身の母校である東京教育大学が閉学となり、筑波大学に変わっていく過程を例に挙げながら、今、そして今後の大学教育について言及されました。また、資料として1993年に開講された科目のシラバスや学生のコメントを引用しながら全学共通教育センターにおける教養教育の歴史についても語られました。

 その後、横畑教授と共に歩んだ高井良センター長、大岡教授、麻生教授らからの言葉もあり、全学共通教育センターの成り立ち、現在に至るまでの色々な出来事にも話題が及び、若手、中堅も交えて賑やかなやりとりが続きました。

 今後も、大学にお運びいただけるとのこと。私の専門であるスポーツにも造詣が深い横畑教授と、日本におけるスポーツの歴史、オリンピックや体罰の問題などこれからも色々とディスカッションさせていただくのを楽しみにしています。

 以上、「スポーツの科学」他担当の遠藤愛がレポートいたしました。

横畑先生への花束贈呈



2024年2月8日木曜日

2023年度「総合教育研究発表会」レポート

 2月2日(金曜日)、2023年度の「総合教育研究」の発表会が開かれました。東経大では語学・体育・教養科目等を担当する全学共通教育センター所属の全教員が、各自のゼミ(総合教育演習)を開講しています。そこで学んだ学生のみなさんが、自身の興味をさらに発展させたい場合、卒業研究/制作にあたる「総合教育研究」を選択できます。この発表会は、その「研究」をまとめて1月に提出された論文や制作の成果について、お披露目する機会として、センター例年の公式行事になっています。

 当日は寒さが身にしみる曇り空の一日でしたが、阿部先生竹内先生のご指導を受けた以下の学生から、いずれも熱のこもった発表をいただきました。

発表(1)現代法学部4年生「JavaScriptによるターン制弾幕シューティングの開発」〔阿部ゼミ

発表(2)経営学部4年生「子産数が少ないホッキョクグマとパンダの個体数の推移」〔竹内ゼミ〕

 お一人目の発表は、ゲーム制作を通じてプログラミングの実習をしている数学の阿部先生のゼミでの研鑚の成果でした。「弾幕シューティング」はテレビゲームの世界では古典といってよいものですが、今回はそれを、ターン制にしてみたというオリジナリティにあふれたものでした。日誌形式の制作記録をブログ上で公開し、苦労や“売り”のアイデアを深めていく過程の詳細な記録も、卒業制作の一環として回覧されました。フロアの学生に、このゲームを実際に操作してもらう「実演」の機会も設けられました。

 お二人目の発表は、熊が世界的な開発や気候変動の影響をどのように受けているのかについて、統計学の竹内先生のゼミで進めたデータ収集と分析にもとづく成果でした。熊のなかでも棲息範囲が比較的狭い北極圏のホッキョクグマと中国のパンダを対象にして、それぞれの個体数の増加が有意なものか、統計的な処理によって分析しています。併せて、個体数の増加に果たした政府の政策の意義について、各国政府が保護に投下した費用との相関や有効性についても検討されました。

 例年、1人あたりの発表時間は質疑応答を含めて30分と設定されていますが、制作秘話やデータ収集の苦労、数値の意味するところの難しさなど、すぐに時間がオーバーする質疑の弾みようでした。

 今回は偶然、両報告とも理系的な学習をふまえた制作・論文の内容発表でした。もっとも、両報告を聞いてみると、いわゆる文系・理系の区別自体が、私のようなオジサンの古くさい二分法だと気づかされます。ゲーム制作はキャラクターデザインや音楽など、アートのセンスとその総合性が欠かせません。統計分析の動機にも、気候変動に直面する動物の権利をめぐる問題や対策の意義如何が念頭にあるわけですから、データサイエンスに求められるモラルサイエンスの側面といったものがうかがえます。いずれの報告からも、将来を担う世代が文理融合的な知のセンスを自分のものとして育っていることを、ひしひしと感じました。

 こうした研究に打ち込めるのも、文理にわたる幅広い分野の教員たちが開講している総合教育演習/研究の多様性のゆえだと言えるでしょう。そのような学びの魅力は、次年度の卒業研究の参考のためにと会場に来ていた3年生の方にも、質疑を通じてしっかり伝わったようです。質疑のなかでも、発表者から、就職活動の面接の際、卒業研究で取り組んだことをしっかりアピールできたことも話題になりました。

 発表された学生の皆さん、お疲れ様でした。今回の研鑚と成果に自信をもって、今後の人生を歩んでください。以上、「日本史Ⅱ」他担当の戸邉秀明がレポートいたしました。


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