2017年11月23日木曜日

【学問のミカタ】歴史をつくる   

 こんにちは。「英語コミュニケーション」ほか英語の授業を担当している田中景です。これまでアメリカ合衆国の歴史、特に移民史を研究してきました。ですので、ここでは一般にアメリカ人にとって歴史とは何であるかを示すエピソードを紹介します。

 今月のはじめに親友のエレナとマイケル夫妻に会いにニューヨークを訪れた時のことです。スペインバルで夕食をしながら懐かしい思い出やお互いの近況を語り合い、やがて共通の知人のサンドラの話になりました。サンドラはアメリカ南部の都市ニューオリンズの出身で、その町に19世紀の南北戦争で黒人奴隷制度を擁護する南部連合軍を指揮して連邦政府軍と戦ったリー将軍の銅像が建てられていたのが最近撤去され、そのことをサンドラはひどく悲しんでいるというのです。

 周知の通り、南北戦争で南部連合軍は敗退し、黒人奴隷は解放されましたが、その後も南部ではリー将軍は南部州の自治を守るために尽くした人物として多くの住民から慕われ、各地で彼の銅像が建てられてきました。ところが、近年、特に南部地域において白人住民による黒人住民への暴行などの事件が増え、最近ではそのような人種差別をなくそうという動きから南部各地でリー将軍の銅像が次々と撤去されています。

 歴史上の人物の銅像を取り壊すなんて、大袈裟な―いいえ、そうではありません。アメリカ人の多くが南部連合軍の将軍の銅像を今なお奴隷制度に賛成し人種差別を容認する社会の象徴として見なし、黒人住民の心情を考えれば当然撤去されるべきだと考えているのです。そしてまた他方で銅像の撤去を南部の伝統と制度が壊されることに他ならないとして悔しさや悲しさを募らせている住民も多くいます―サンドラのように。いずれにしてもアメリカ人にとって歴史とは過ぎ去った出来事や知識ではないのです。

 「独立宣言に書かれた『すべての人間は生命、自由、幸福を追求する権利がある』というのは、当初は有産階層の白人男性に限定されていた。それが南北戦争や20世紀初頭の女性参政権運動、60年代の公民権運動を経て今では性別や人種に関係なくすべての市民の権利になった。サンドラは歴史に逆行している。」そう語るマイケルの言葉から、アメリカ人にとって歴史とは市民が一つになり未来に向けて理念を実践し、作っていくもの、という見方が伝わってきました。

11月の【学問のミカタ】
・経済学部ブログ「日本の大学生は多すぎる!?
・経営学部ブログ「考・学問のすゝめ
・コミュニケーション学部ブログ「履歴書に書けないキャリアのお話
・現代法学部ブログ「『できる』と思うか、『できない』と思うか?~障害者雇用政策のあり方~

2017年11月17日金曜日

コトパティオでいろんな言葉を話そう!

フランス語と倫理学担当の相澤伸依です。今日は、私が運営委員として関わっているグローバルラウンジ「コトパティオ」の活動を紹介します。

コトパティオには英語ネイティブのスタッフ2名が常駐し、フリートークを中心にプレゼンテーションの練習、ゲームなどのアクティビティを行うことができます。しかし!コトパティオは英語だけを学ぶ場ではありません。

毎週月曜と水曜のお昼休みには韓国語ネイティブの留学生スタッフが、水曜と木曜のお昼休みには中国語ネイティブの留学生スタッフがコトパティオにいて、それぞれの言葉でフリートークをすることができます。(ハングルアワー、中国語アワーと呼んでいます。)また、ラウンジ内には、上記以外の言語を学ぶための教材や各国文化に関する本、様々な国への留学情報が集められており、いつでも利用することができます。

ジェフはフランス語も話せます!
このように世界のいろんな言葉、文化に関心を持ち、学ぶ姿勢を持ってほしいという方針のもと、グローバルラウンジ「コトパティオ」は運営されています。

上記に加えた新たな試みとして、今日のお昼休みには「フレンチ・テーブル」を実施しました。これは、フランス語教員である私が、フランス語を話したい人や日本語でフランスについて話したい人とテーブルを囲むイベントです。今日は三人の学生とスタッフのジェフと一緒にテーブルを囲み、簡単なフランス語会話を練習したりフランスの映画についておしゃべりをしました。一生懸命話す学生と接して、外国語で話すのって単純に楽しい!外国のことを知るのって面白い!と初心を思い出した次第です。

フレンチ・テーブル は来月も開催する予定です。詳細はコトパティオのサイトやTKUポータルでお知らせします。少しでも興味のある方はみんな Bienvenue (歓迎)です!

2017年11月6日月曜日

図書館展示「中公新書が好きだ!」

倫理学とフランス語担当の相澤伸依です。

全部で19冊展示しています。
今週から、図書館一階ブックウォールDで、選書展示「中公新書が好きだ!」が始まりました。専門や学部の枠を超えて教員五名で、学生にお薦めしたい中公新書を集めて、推薦文とともに展示しています(すてべ二週間貸し出し可能)。


私は、電車や喫茶店などでちょっと時間ができた時に読めるように、新書を持ち歩くようにしています。いろんな出版社が新書を出しているわけですが、私の一番のお気に入りは中央公論新社の新書です。堅いものからポップなものまで、手軽に読めて、かつ学問の成果をしっかり感じさせてくれる。この中公新書の手堅い魅力を伝える展示をいつかやりたい!と思い続けていました。数年越しの企画を同僚の協力で実現できて嬉しく思うとともに、多くの学生さんに見てもらいたいと願う次第です。
一階カウンター前ではミステリー特集。


図書館では、他にもいろんな場所で特集展示が行われています。秋の夜長のおともを探しに、ぜひ図書館へいらしてください。