2024年2月8日木曜日

2023年度「総合教育研究発表会」レポート

 2月2日(金曜日)、2023年度の「総合教育研究」の発表会が開かれました。東経大では語学・体育・教養科目等を担当する全学共通教育センター所属の全教員が、各自のゼミ(総合教育演習)を開講しています。そこで学んだ学生のみなさんが、自身の興味をさらに発展させたい場合、卒業研究/制作にあたる「総合教育研究」を選択できます。この発表会は、その「研究」をまとめて1月に提出された論文や制作の成果について、お披露目する機会として、センター例年の公式行事になっています。

 当日は寒さが身にしみる曇り空の一日でしたが、阿部先生竹内先生のご指導を受けた以下の学生から、いずれも熱のこもった発表をいただきました。

発表(1)現代法学部4年生「JavaScriptによるターン制弾幕シューティングの開発」〔阿部ゼミ

発表(2)経営学部4年生「子産数が少ないホッキョクグマとパンダの個体数の推移」〔竹内ゼミ〕

 お一人目の発表は、ゲーム制作を通じてプログラミングの実習をしている数学の阿部先生のゼミでの研鑚の成果でした。「弾幕シューティング」はテレビゲームの世界では古典といってよいものですが、今回はそれを、ターン制にしてみたというオリジナリティにあふれたものでした。日誌形式の制作記録をブログ上で公開し、苦労や“売り”のアイデアを深めていく過程の詳細な記録も、卒業制作の一環として回覧されました。フロアの学生に、このゲームを実際に操作してもらう「実演」の機会も設けられました。

 お二人目の発表は、熊が世界的な開発や気候変動の影響をどのように受けているのかについて、統計学の竹内先生のゼミで進めたデータ収集と分析にもとづく成果でした。熊のなかでも棲息範囲が比較的狭い北極圏のホッキョクグマと中国のパンダを対象にして、それぞれの個体数の増加が有意なものか、統計的な処理によって分析しています。併せて、個体数の増加に果たした政府の政策の意義について、各国政府が保護に投下した費用との相関や有効性についても検討されました。

 例年、1人あたりの発表時間は質疑応答を含めて30分と設定されていますが、制作秘話やデータ収集の苦労、数値の意味するところの難しさなど、すぐに時間がオーバーする質疑の弾みようでした。

 今回は偶然、両報告とも理系的な学習をふまえた制作・論文の内容発表でした。もっとも、両報告を聞いてみると、いわゆる文系・理系の区別自体が、私のようなオジサンの古くさい二分法だと気づかされます。ゲーム制作はキャラクターデザインや音楽など、アートのセンスとその総合性が欠かせません。統計分析の動機にも、気候変動に直面する動物の権利をめぐる問題や対策の意義如何が念頭にあるわけですから、データサイエンスに求められるモラルサイエンスの側面といったものがうかがえます。いずれの報告からも、将来を担う世代が文理融合的な知のセンスを自分のものとして育っていることを、ひしひしと感じました。

 こうした研究に打ち込めるのも、文理にわたる幅広い分野の教員たちが開講している総合教育演習/研究の多様性のゆえだと言えるでしょう。そのような学びの魅力は、次年度の卒業研究の参考のためにと会場に来ていた3年生の方にも、質疑を通じてしっかり伝わったようです。質疑のなかでも、発表者から、就職活動の面接の際、卒業研究で取り組んだことをしっかりアピールできたことも話題になりました。

 発表された学生の皆さん、お疲れ様でした。今回の研鑚と成果に自信をもって、今後の人生を歩んでください。以上、「日本史Ⅱ」他担当の戸邉秀明がレポートいたしました。


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