2017年12月27日水曜日

TKUサイエンスカフェ「時間とはなんだろう」

 自然の構造ほか担当の榎です。12月19日(火)に学習センターにて、今年度2回目となるTKUサイエンスカフェが開かれました。講師は慶応大学の松浦壮さんで、「時間とはなんだろう」というタイトルでお話しされました。今回の参加者数は、40名近くにのぼりました。なお、松浦さんは、2013年度のTKUサイエンスカフェでも講演して下さっています。

 講師の松浦さんは、素粒子論を専門とする理論物理学者です。「時間」については、様々な立場から論じることができますが、今回、松浦さんには、物理学の立場から見た「時間」について語ってもらいました。


 私たちが時間をどのようにして実感するのかをよく考えてみると、物体の運動を通してである、ということにたどり着きます。物体の運動は、自然の法則である運動の法則に支配されています。私たちの身の回りの物体の運動は、17世紀に明らかになったュートンの運動の法則で説明することができます。そのため、私たちが素朴に持つ時間の感覚は、ニュートンの運動の法則に基づくものといえます。しかし、物理学が発展するに従って、ニュートンの法則では説明できない現象が明らかになってきました。それは、「光」についての現象です。20世紀に入ると、アインシュタインにより、光の現象も含めて説明できる運動の法則である相対性理論が構築されました。ニュートンの法則では、時間と空間はそれぞれ別の独立したものとされましたが、相対性理論では時間と空間は不可分で一体のものとして考えます。さらに、20世紀には、素粒子のような物質の根源にかかわるミクロな領域での運動の法則である量子論が構築されました。この量子論と相対性理論を基にすると、物質や力も、時間や空間の特性のひとつと理解できます。そして、このお話は、時間・空間・物質・力の全てが同じルーツを持つと考える『量子重力』へと繋がっていくのです。このように、物理学が発展するにしたがって、「時間」の概念は変わり、より本質が明らかになっていきます。

 今回のサイエンスカフェでは、以上の物理学から見た時間についての概念の変遷と、時間と空間を一体として考える相対性理論とはどのようなもなのかについて、熱く語られました。「時間」については誰もが実感できるけど、実態を考えるとよく分からないものであるためか、講演の途中でも質疑応答がなされ、カフェ終了後も、何名かの学生さんが残って講師の松浦さんに疑問をぶつけていました。

 なお、このほど、松浦さんは「時間とはなんだろう 最新の物理学で探る『時』の正体」(講談社ブルーバックス)という本を出版されました。サイエンスカフェで語られたことは、この本に詳しく書かれています。今回のサイエンスカフェに合わせて、松浦さんの著作と、哲学、数学、地球科学、天文学、物理学といった様々な学問領域から見た「時間」についての本を選んで、本学図書館にて、展示しています。ぜひ、ご覧になって、「時間」について様々な思考を巡らせてみて下さい。

(参考)これまでのTKUサイエンスカフェのレポート
 2013年度第1回「この夏、天の川銀河の超巨大ブラックホールに接近するガス雲の運命
 2013年度第2回「宇宙は何からできている?
 2014年度第1回「折り紙の数学
 2014年度第2回「ブラックホールの謎に迫る!
 2015年度第1回「コンテンツの生まれかたと受けとりかた
 2015年度第2回「豚インフルエンザについて
 2016年度第1回「ブラックホール、ビッグバン、そして次元 ~人に話したくなる宇宙のおはなし~
 2016年度第2回「コスモスを秋桜と書く理由、秋桜が春に咲く理由
 2017年度第1回「映像世界と身体感覚

2017年12月20日水曜日

英語プレゼンテーションコンテスト2017

フランス語と倫理学担当の相澤伸依です。12/16(土)に、進一層ホールで英語プレゼンテーションコンテストが行われ、私も審査員として参加しました。総勢11組、のべ20人が参加したコンテストの様子を紹介します。

 このプレゼンテーションコンテストは、昨年まで行われていた英語スピーチコンテストを一新したもので、今年が初めての試みになります。個人でもグループでも参加可能。10分という制限時間内で、根拠を示しながらいかに説得力をもってメッセージを伝えられるかを競い合います。

発表内容は参加者に委ねられています。今回は、海外での体験から学んだことをつたえるもの、自分の試行錯誤の経験をふまえて英語学習のコツを伝えるもの、あるいは社会問題提起など、多岐にわたりました。
多くの聴衆が集まりました。

英語のプレゼンテーションのコンテストですので、審査は内容だけでなく、 英語の正確さや聴き取りやすさ、ビジュアル、身体の使い方などを、ピーター・ロス先生と私が総合して判断しました。どの参加者も、英語を訓練しているだけでなく、スライドでわかりやすくつたえる工夫をしていました。また、グループならではの凝った演出を試みた参加者もおり、あっというまの2時間でした。

表彰の様子。
全体を通して私が感じたのは、伝えたいメッセージを持つことはとても大事だという点です。「あなたは他人に何か伝えたいことがありますか?それは何ですか?」といきなり問われても、きっと多くの人がとまどうでしょう。今回の参加者たちは、それぞれが、聴衆に伝えたい、わかってほしいというメッセージを明確に持っていました。だからこそ、どのプレゼンテーションも、テクニックの競い合いにとどまらず、聴き手に訴えかけるものになっていたと思います。

こんなサンタの姿も...
コンテスト後は、参加者の表彰も兼ねて、国際交流チューター主催のクリスマスパーティが行われました。互いのがんばりをねぎらい合い、友好を深める機会となりました。

気の早い話ですが、英語プレゼンテーションコンテストは来年度も開催予定です。ぜひ日頃の英語学習の成果を試す機会として目標にしてほしいと思います。

2017年12月18日月曜日

2017年度総合教育演習「ゼミ報告会」を行いました

 「外国史」ほか担当の高津です。12月9日(土)の午後に全学共通教育センターが開講する「総合教育演習」のゼミ報告 会が行われました。2012年に始まって以来、今年で6回目となるゼミ報告会ですが、全 学共通教育センターの「年末の恒例行事」としてすっかり定着したようです。今回は12 のゼミが参加し、2教室に分かれて発表が行われました。


発表の様子

 報告者の皆さんにとって、ゼミ報告会は1年間のゼミでの活動を披露し、自分の成長を実感できる大事な機会ですよね。普段は顔を合わせない学生や教員の前で自分の研究成果を報告し、相手からの質問に対して受け答えをする・・・・これが中々難しい。頭が真っ白になってうまく話せなかった、質問に何て答えて良いか分からなかった・・・などなど、後で反省したり、悔むこともあるかもしれません。しかし、終わった後の解放感や充実感も―頑張った人ほど―大きいでしょう。報告会後の懇親会で仲間と食べるピザとお寿司は、きっといつもよりも美味しかったはずです。是非この経験を、失敗も含めて、 忘れないで下さい。

報告会終了後の懇親会

 今回、いくつかのゼミの OB・OGの方々も会場にお越し下さり、後輩たちを応援していました。今後も母校を訪れて 旧交を温める機会として欲しいです。私もこの日は高津ゼミのゼミ生、そしてゼミのOBたちと美味しい食事を楽しみましたよ。 食事を別にしても、私にとってこの報告会は、自分の専門とする西洋史学以外の研究成果を知ることのできる得難い機会です。残念ながら全ての報告を聞くことはできませ んでしたが、今回は榎ゼミの天文学、上野ゼミの日本文学、戸邉ゼミの日本史学、中川ゼミの英語教育、新正ゼミの岩石学・地質学に関する研究成果やゼミ活動の報告を、興味深くうかがいました。

 学生にも卒業生にも教員にも楽しく有意義なゼミ報告会―、来年も今年以上に盛り上がることを期待しています。そのためにも、ゼミ生の皆さん!毎回のゼミの活動を、教員と仲間との時間を、大切にして下さい。

・関連記事へのリンク
2017年度 「総合教育演習」ゼミ報告会のご案内
2016年度 総合教育演習「ゼミ報告会」を行いました
2015年度 全学共通教育センター ゼミ報告会が行われました
2014年度 全学共通教育センター ゼミ報告会レポート

2017年12月1日金曜日

2017年度「総合教育演習」ゼミ報告会のご案内

 来る12月9日(土)の13:30より、1号館3階A309、A310教室にて、「総合教育演習」ゼミ報告会を開催します。「総合教育演習」は、全学共通教育センターが開講している教養を学ぶためのゼミで、人文学、社会科学、自然科学の幅広いテーマを対象とする個性豊かなゼミがそろっています今年度のゼミ報告会には14ゼミが参加、23ユニットの発表が予定されています。


 このゼミ報告会は、本学在学生はもちろんのこと、在学生の保護者や、高校の先生・生徒・保護者の方々にも公開しています。申し込み不要、出入り自由です。当日は、経済学部のゼミ研究報告会(6号館3階)と経営学部のゼミ研究報告会(1号館3,4階)も行われます。これらの会場にも自由に出入りして参観することもできます。

 ゼミ選び中の在学生の方、大学での学びに興味のある方、多くのご来場をお待ちしています。


(参考)昨年度のゼミ報告会の様子
2016年度総合教育演習「ゼミ報告会」を行いました

2017年11月23日木曜日

【学問のミカタ】歴史をつくる   

 こんにちは。「英語コミュニケーション」ほか英語の授業を担当している田中景です。これまでアメリカ合衆国の歴史、特に移民史を研究してきました。ですので、ここでは一般にアメリカ人にとって歴史とは何であるかを示すエピソードを紹介します。

 今月のはじめに親友のエレナとマイケル夫妻に会いにニューヨークを訪れた時のことです。スペインバルで夕食をしながら懐かしい思い出やお互いの近況を語り合い、やがて共通の知人のサンドラの話になりました。サンドラはアメリカ南部の都市ニューオリンズの出身で、その町に19世紀の南北戦争で黒人奴隷制度を擁護する南部連合軍を指揮して連邦政府軍と戦ったリー将軍の銅像が建てられていたのが最近撤去され、そのことをサンドラはひどく悲しんでいるというのです。

 周知の通り、南北戦争で南部連合軍は敗退し、黒人奴隷は解放されましたが、その後も南部ではリー将軍は南部州の自治を守るために尽くした人物として多くの住民から慕われ、各地で彼の銅像が建てられてきました。ところが、近年、特に南部地域において白人住民による黒人住民への暴行などの事件が増え、最近ではそのような人種差別をなくそうという動きから南部各地でリー将軍の銅像が次々と撤去されています。

 歴史上の人物の銅像を取り壊すなんて、大袈裟な―いいえ、そうではありません。アメリカ人の多くが南部連合軍の将軍の銅像を今なお奴隷制度に賛成し人種差別を容認する社会の象徴として見なし、黒人住民の心情を考えれば当然撤去されるべきだと考えているのです。そしてまた他方で銅像の撤去を南部の伝統と制度が壊されることに他ならないとして悔しさや悲しさを募らせている住民も多くいます―サンドラのように。いずれにしてもアメリカ人にとって歴史とは過ぎ去った出来事や知識ではないのです。

 「独立宣言に書かれた『すべての人間は生命、自由、幸福を追求する権利がある』というのは、当初は有産階層の白人男性に限定されていた。それが南北戦争や20世紀初頭の女性参政権運動、60年代の公民権運動を経て今では性別や人種に関係なくすべての市民の権利になった。サンドラは歴史に逆行している。」そう語るマイケルの言葉から、アメリカ人にとって歴史とは市民が一つになり未来に向けて理念を実践し、作っていくもの、という見方が伝わってきました。

11月の【学問のミカタ】
・経済学部ブログ「日本の大学生は多すぎる!?
・経営学部ブログ「考・学問のすゝめ
・コミュニケーション学部ブログ「履歴書に書けないキャリアのお話
・現代法学部ブログ「『できる』と思うか、『できない』と思うか?~障害者雇用政策のあり方~

2017年11月17日金曜日

コトパティオでいろんな言葉を話そう!

フランス語と倫理学担当の相澤伸依です。今日は、私が運営委員として関わっているグローバルラウンジ「コトパティオ」の活動を紹介します。

コトパティオには英語ネイティブのスタッフ2名が常駐し、フリートークを中心にプレゼンテーションの練習、ゲームなどのアクティビティを行うことができます。しかし!コトパティオは英語だけを学ぶ場ではありません。

毎週月曜と水曜のお昼休みには韓国語ネイティブの留学生スタッフが、水曜と木曜のお昼休みには中国語ネイティブの留学生スタッフがコトパティオにいて、それぞれの言葉でフリートークをすることができます。(ハングルアワー、中国語アワーと呼んでいます。)また、ラウンジ内には、上記以外の言語を学ぶための教材や各国文化に関する本、様々な国への留学情報が集められており、いつでも利用することができます。

ジェフはフランス語も話せます!
このように世界のいろんな言葉、文化に関心を持ち、学ぶ姿勢を持ってほしいという方針のもと、グローバルラウンジ「コトパティオ」は運営されています。

上記に加えた新たな試みとして、今日のお昼休みには「フレンチ・テーブル」を実施しました。これは、フランス語教員である私が、フランス語を話したい人や日本語でフランスについて話したい人とテーブルを囲むイベントです。今日は三人の学生とスタッフのジェフと一緒にテーブルを囲み、簡単なフランス語会話を練習したりフランスの映画についておしゃべりをしました。一生懸命話す学生と接して、外国語で話すのって単純に楽しい!外国のことを知るのって面白い!と初心を思い出した次第です。

フレンチ・テーブル は来月も開催する予定です。詳細はコトパティオのサイトやTKUポータルでお知らせします。少しでも興味のある方はみんな Bienvenue (歓迎)です!

2017年11月6日月曜日

図書館展示「中公新書が好きだ!」

倫理学とフランス語担当の相澤伸依です。

全部で19冊展示しています。
今週から、図書館一階ブックウォールDで、選書展示「中公新書が好きだ!」が始まりました。専門や学部の枠を超えて教員五名で、学生にお薦めしたい中公新書を集めて、推薦文とともに展示しています(すてべ二週間貸し出し可能)。


私は、電車や喫茶店などでちょっと時間ができた時に読めるように、新書を持ち歩くようにしています。いろんな出版社が新書を出しているわけですが、私の一番のお気に入りは中央公論新社の新書です。堅いものからポップなものまで、手軽に読めて、かつ学問の成果をしっかり感じさせてくれる。この中公新書の手堅い魅力を伝える展示をいつかやりたい!と思い続けていました。数年越しの企画を同僚の協力で実現できて嬉しく思うとともに、多くの学生さんに見てもらいたいと願う次第です。
一階カウンター前ではミステリー特集。


図書館では、他にもいろんな場所で特集展示が行われています。秋の夜長のおともを探しに、ぜひ図書館へいらしてください。



2017年10月15日日曜日

大久保奈弥先生のサンゴの研究

 「生命の科学」ほか担当でサンゴの研究をしている大久保奈弥先生が、公益社団法人日本動物学会から国際誌「Zoological Science」 の特に優れた論文の著者に授与される「Zoological Science Award」を受賞しました。さらに、その賞を得た研究者に贈られる「藤井賞」も受賞しました(大学ニュースにも掲載されています)。

 大久保先生より
 「学生時代に臨海実習でお世話になった岡良隆先生(日本動物学会会長)から授賞式で賞状を貰ったことは、とても感慨深かったです」
 という受賞のコメントを頂いております。

 受賞された論文の解説記事が、水産無脊椎動物研究所の「うみうし通信No.91」 に、
 「イシサンゴ目における2つの新亜目の提唱 ~発生様式はサンゴの分類形質になりうるか~」
 というタイトルで掲載されています。この解説記事は、大久保先生のホームページで公開されていますので、ぜひご覧ください。

フトトゲサンゴの赤ちゃん
関連記事
だめよ〜だめだめ、サンゴの移植でさんご礁は復活しないの
産んでちょうだいサンゴさん

2017年10月5日木曜日

コトパティオで秋祭り

フランス語と倫理学担当の相澤伸依です。今回は、私も運営に関わっているグローバル・ラウンジ「コトパティオ」の活動を紹介します。

昨日はちょうど中秋の名月でした。アジア各地に、満月の時期に合わせて秋の収穫を祝うお祭り文化が存在しています。コトパティオの活動目的の一つは、言葉や体験を通じて異文化を知ることです。 そこで、今日はラウンジ内で、アジア各地のお祭りや秋の習慣を知る "Mid-Autumn Festival" を開催しました。

ラウンジには「月餅」が用意されました。
学内に貼られたイベントポスター。










まずはラウンジのスタッフであるジェイソンが、母国アメリカの秋の収穫祭の様子を説明してくれました。続いて、日本人の学生スタッフKさんが、日本のお月見についてプレゼンしました。月見だんごを食べることや月のうさぎの話を紹介。続いて、ネパールのお祭りの様子、ヴェトナムのお祭りの様子を留学生が報告してくれました。同じ秋の収穫祭であっても、食べるお菓子が少しづつ違ったり、国によってはお祝いの時のコスチュームがあったりと、私も初めて知ることばかりでした。

学生スタッフKさんの発表。
ヴェトナムからの留学生Mさんの発表。

普段は、英語、中国語、韓国語のネイティブスタッフとのフリートークができる場所として多くの学生が集まるコトパティオ。時にはこうしたイベントを通じて、外国の文化に触れる機会を提供していきたいとスタッフ一同考えています。

ラウンジの日々の様子やイベントの情報は、こちら(コトパティオのツイッター)をチェックしてみてください!

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 コトパティオでフランスDay

2017年9月24日日曜日

【学問のミカタ】終わらない羽音(ブーム)の熱

 はじめまして。「外国文学Ia・Ib」、「スペイン語」などを担当しています山辺弦です。今回の【学問のミカタ】では、私が研究しているスペイン語圏ラテンアメリカ文学について、初の記事執筆ということもありごく入門的にご紹介したいと思います。

 「スペイン語の小説」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょう。『ドン・キホーテ』? ご名答!(くれぐれも、『ドンキ・ホーテ』ではありませんよ!)でもこれは、今から400年以上も前にスペインで書かれた小説。新大陸発見以降に世界中に広まったスペイン語は、今では世界第4位の話者人口を持ち、20以上の国や地域で公用語とされる巨大言語になっています。これらの地域の大半を占めるのが、スペインの植民地となったメキシコ、ペルー、アルゼンチン、キューバなどのラテンアメリカ諸国です。当然「スペイン語の文学作品」はこれらの地域でも盛んに生み出されており、何も「スペイン」という国だけの専売特許ではないのです。

 こう話すと驚かれる方も多いのですが、それは一部には、「ラテンアメリカ文学」というものに対してあまりイメージが湧かない、ということでもあるでしょう。確かに二十世紀の前半までは、一部の傑出した作家たちの作品を除いて、ラテンアメリカ文学は世界的な規模での認知を十分に受けてはいませんでした。これを一変させた出来事が、主に1960年代にヨーロッパを中心として起こった、ラテンアメリカ文学(特に小説)の「ブーム」、すなわち大流行です。ガルシア=マルケス(コロンビア)の無尽蔵に湧いてくる奇想天外なエピソードの数々や、コルタサル(アルゼンチン)の現実と幻想を鮮やかに逆転させる完璧な短編、バルガス=ジョサ(ペルー)やフエンテス(メキシコ)が自国の複雑な姿を全体像として描くために発明した、魅惑的なストーリーと実験的手法を兼ね備えた見事な長編などは、小説の可能性に行き詰まりを感じていたヨーロッパの文学界を激震させました。この新大陸の再「発見」は、20世紀後半の世界文学における最も大きな出来事の一つだったと言ってよいでしょう。

 以来、その地位を確立し様々な作家や作品を送り出してきたラテンアメリカ文学は、「ブーム」の余韻さめやらぬ中、日本でもいち早く翻訳紹介されてきました。そして21世紀に入った近年、日本でのラテンアメリカ文学の翻訳・研究は再び史上最大級の活況を呈し、矢継ぎ早に刊行される新たな作品や作家たちが書店の本棚を彩っています。私自身も専門としている現代キューバ文学を中心に翻訳をやらせて頂いているのですが(既刊にレイナルド・アレナス『襲撃』、近刊にビルヒリオ・ピニェーラ『圧力とダイヤモンド』、ともに水声社)、このような盛り上がりの波に乗ってみなさんと傑作を共有できる巡り合わせには心底ワクワクさせられますし、その興奮を糧にすることで、普段の研究や読書、作家との交流といった活動の楽しみは何倍にも増していきます。みなさんもぜひ、書店へとくり出して、実はいまだ燃え上がり続けているこの「ブーム」の熱を感じ取り、自分だけの一冊を「発見」してみてください。

9月の【学問のミカタ】
・経済学部ブログ「文化財としての景観
・経営学部ブログ「正しいとは何か?
・コミュニケーション学部ブログ「読まない ‘h’ は保守派の印?!
・現代法学部ブログ「法律におけるたった“2„の違い——18歳選挙権から考える

2017年7月21日金曜日

【学問のミカタ】We did it !

「自然の構造」ほか担当の榎です。今回は【学問のミカタ】の記事ということで、私の研究分野である天文学・宇宙物理学の話題を紹介します。

日本時間の2016212日の未明、「重力波の直接検出に成功した」という発表が、アメリカの重力波観測装置LIGOの研究チームによってなされました。その少し前から、重大発表があるという噂が業界内では流れており、その発表のネット中継を私も見ていました。冒頭、LIGOexecutive directorDavid Reitze氏が、” Ladies and gentlemen, we have detected gravitational waves. We did it !と高らかに述べました。日本語に訳すと「みなさん、私たちは重力波を検出しました。私たちはやったんです!」とでもなるでしょうか。重力波はアインシュタインの一般相対性理論で予測されていた、時空のゆがみが波動として伝わる現象です。その存在は100年前から理論的に予測されていましたが、直接検出はされていませんでした。その理由は、重力波のシグナルは大変弱いため、検出するのが極めて難しく、乗り越えるべき困難が幾多もあったからでした。日本を含む世界各地で、重力波の観測プロジェクトが進められていますが、アメリカのLIGOが一番最初に重力波の検出に成功しました。David Reitze氏の”We did it !”には、大変な困難をようやく乗り越えた万感の思いが込められていたと、私は感じました。

今回のLIGOチームの発表によると、検出された重力波を解析したところ、二つのブラックホールが合体して一つになる過程で放射された重力波であること、そのブラックホールの質量や、地球からの距離などが明らかになったとのことです。つまり、重力波を直接検出しただけでなく、その重力波から宇宙物理学的・天文学的な様々な情報を読み解くことができた、ということで、大いなる科学の進歩です。さらに、今回明らかになったブラックホールの質量は予想外のものであったため、新たな宇宙物理学・天文学の研究が発展することが期待できます。

発表があった日の日本の主要な新聞の一面は、ほぼ全て「重力波の直接検出に成功!」という記事でした。このような科学に関するニュースが流れると、よく、「それって何の役に立つの?」と聞かれます。しかし、このような受け身の質問するのは、よろしくありません。何の役に立つかわからないモノに直面した時、「これを役に立たせるにはどうしたらよいか?」と能動的に考える姿勢がなければ、イノベーションは起こせませんよ。

さて、私は、主に銀河の形成についての理論的研究を行っている研究グループの一員です。その中で、私は、特に銀河の中心に存在する超巨大ブラックホール(Supermassive Black Hole)に注目して銀河の形成の研究を進めています。その関連で、10年ほど前に、銀河形成モデルを使って、二つの超巨大ブラックホールが合体する時に放射される重力波の研究を行い、超巨大ブラックホール同士の合体が重力波でどのように観測されるのかを予測しました。近年、超巨大ブラックホールからの重力波をターゲットとした観測プロジェクトが世界でいくつか進行しており、現在、徐々に結果が出つつある段階です(ちなみに、LIGOは超巨大ブラックホールを観測ターゲットとしていません)。近い将来に得られるであろう観測結果が、私たちの予測通りであれば嬉しいですし、予想が外れると悔しいです。しかし、予想が外れた場合、超巨大ブラックホールについて新たな研究が切り開かれるので、それはそれで楽しみです。はてさて、どうなりますやら。

関連リンク 
 ・LIGO: GW150914 press release 
 ・AstroArts: アインシュタインの予測から100年、重力波を直接検出 
 ・国立天文台重力波プロジェクト推進室
 ・東大宇宙線研究所重力波グループ

7月の 【学問のミカタ】
・経営学部ブログ「大学の先生のお仕事は?
・コミュニケーション学部ブログ「異文化でのフィールドワーク
・現代法学部ブログ「法学と時代の遠近感

2017年7月14日金曜日

コトパティオでフランスDay

フランス語と倫理学担当の相澤伸依です。本年度は、グローバル・ラウンジ「コトパティオ」の運営にも携わっています。その活動の一環をご紹介します。

コトパティオとは、様々な外国語で交流したり、異文化を学ぶための参加体験型学習スペースです。普段は、英語をはじめとした各言語のネイティブスタッフとのフリートークができる場所として多くの学生が集まります。コトパティオの活動目的の一つは、言葉や体験を通じて異文化を知ること。今日7月14日はフランス革命記念日ということで、フランスの文化を知るという趣旨で、フランスDayを開催しました。

フランスの写真を見ながらレッスン。
まずは私の方から、フランス語に親しもうということで「旅のフランス語ミニ講座」をお昼休みに実施しました。フランス革命記念日の由来を説明した後で、挨拶や自己紹介などの簡単だけれども旅先で必要になる表現をレクチャー。多くの学生にとってフランス語に触れる初めての機会だったと思うのですが、大きな声で参加してくれました。


言葉に加えて、食で文化を知ろうということで、スタッフや学生がクレープ作りにチャレンジしました。フランス名物の飲み物オランジーナも用意。フランスの音楽が流れるラウンジ内で、おやつを楽しみました。



ラウンジ内には複数のテーブルが置かれており、各テーブルでおしゃべりをしたり、ゲームを楽しむことができます。現在のところ、学生たちが主に話すのは英語ですが、近い将来フランス語のテーブルも作れるといいなあと思いました。

コトパティオは、学内にいながら、気軽に外国語で話したり、友達が作れる場です。言葉に自信がない方も(私も英語は苦手です...)、気軽にのぞいてみてください。優しいスタッフが笑顔で迎えてくれますよ!

2017年7月11日火曜日

TKUサイエンスカフェ「映像世界と身体感覚」開催

数学担当の阿部です.7月3日(月曜日)にTKUサイエンスカフェが学習センター講座スペースで開催されました.今回のテーマは「映像世界と身体感覚」.講師は明治大学大学院先端数理科学研究科の齊藤寛人さんです.当日は学生21名,教員2名が参加し,茶菓を楽しみながら映像サイエンスの最先端を体験しました.

みなさんは3Dテレビを覚えていますか.ロンドンオリンピックの頃店頭にたくさん並んでいたあれです.最近見かけなくなってしまいましたが,3D効果は抜群でした.テレビから飛び出してくる海賊のサーベルを反射的によけたなんて経験があるひとも多いんじゃないでしょうか.なんでサーベルが飛び出してくるんでしょう.これは両眼視野闘争という身体感覚を利用して,飛び出したように錯覚させるんだそうです.両眼視野闘争とは、「2つの目でそれぞれ異なる視覚図形を見た場合、どちらか一方の図形が知覚され、時間が過ぎるとともに知覚が切り替わる現象」(脳科学辞典)を言います.片目だけつぶっても見えている景色は半分暗くなりませんよね.これは開いている目で知覚している景色と閉じている目で知覚している暗闇との間で両眼視野闘争が起こり,景色が暗闇に勝っているからです.こんな素朴な身体感覚をつきつめるとテレビから出てきた海賊のサーベルごときにビクってなってしまうんですね.ちなみに下記の映像は,3D効果を入れた映像ですが,片目で見ると両眼視野闘争によって少し3D効果が増すそうです.試してみてください.

「ルパン三世」オープニング映像(YouTube


他にバーチャルリアリティから得られる身体感覚についても紹介してもらいました.これも素朴なところから出発します.心理学の古い実験で「ラバーハンド実験」というのがあります.自分の手とラバーハンドを並べて,自分の手は視界からはずしラバーハンドだけを見ます.その状態で自分の手とラバーハンドを同時にくすぐり続けると,そのうちラバーハンドをくすぐっただけで,こちょばゆく感じてしまうという実験です.

【心理学】ラバーハンド実験(YouTube


このラバーハンドをバーチャルリアリティに置き換えることで,エンターテイメントはもちろんリハビリなど医療分野でもバーチャルリアリティが活用されていることを知りました.

映像サイエンスの最先端をたくさん紹介してもらいましたが,いまのところ活用されている分野はエンターテイメントあるいは医療分野とのことでした.数年後これらの技術はいずれも身近なものになります.研究者の方々は技術の発展に日々努めています.利用する側のみなさんにはこういった最先端の技術が何に応用できるのか日頃から考えてほしいと思います.最先端の技術を利用して社会をよりよくすること.これは将来みなさんが中心になってやっていくべき仕事です!

・昨年度のTKUサイエンスカフェの報告
第1回「ブラックホール、ビッグバン、そして次元 ~人に話したくなる宇宙のおはなし~
第2回「コスモスを秋桜と書く理由、秋桜が春に咲く理由

2017年7月4日火曜日

選書展示「ヨーロッパを知る」

フランス語と倫理学担当の相澤伸依です。

3月末でフランスでの国外研究を終え、4月から本学での業務に戻っています。渡仏前に力を入れたことの一つが図書館利用促進の活動でした。復帰後もぜひいろんな企画をしたいと、フランス滞在中から考えていました。今回は、その企画第一弾をご紹介します。

一階OPACの横の棚です。
今週から、図書館一階ブックウォールDで、選書展示「ヨーロッパを知る」が始まりました。ヨーロッパ地域に関わる事柄を専門とする教員六名で、今、ヨーロッパを知るために薦めたい本を集めて展示しています(すてべ二週間貸し出し可能)。


DVDも展示しています。
ヨーロッパと言えば、相次ぐテロのニュースを通して、ひどく物騒な場所だというイメージが定着しつつあるかもしれません。ブレグジット、難民問題、そしてテロとホットなニュースが続くこのごろ。こういった国際情勢を理解するきっかけになるような本や、歴史文化の魅力にふれるための本を並べました。様々な切り口の本を通じて、ヨーロッパの豊かな姿を発見してほしいというのが、選者一同の願いです。

図書館では、 本展示以外にも、同時並行で企画展示が行われています。勉強の合間に、ぶらっと図書館をめぐって、気になる本を探してみてください。


2017年6月22日木曜日

今年も500人が日本語検定を受検

 去る6月10日土曜日、本年度第一回の日本語検定の学内団体受検が実施され、約500名の学生が挑戦しました。

 日本語検定は、日本語の総合的な能力を測る検定試験で、多くの学校や企業が採用しています。本学では総合教育科目「文章表現基礎Ⅰ・Ⅱ」の授業の一環として、これを採用しています。日本語検定を2009年度から導入し、今年で9年目の実施となりますが、履修した学生の努力が実り、成績優秀校としてこれまで何度も検定委員会から表彰されてきました。今年2月には、昨年度Ⅱ期履修学生の3級受検成績が高く評価され、「文部科学大臣賞」をいただきました。

 本年度もⅠ期・Ⅱ期合わせて、のべ約1000人の学生が日本語検定を受検します。受検対策の授業を通して、大学での学びに欠かせない、文章表現力や会話コミュニケーション力の基礎を、多くの学生たちが学んでいきます。その力は大学生活だけにとどまらず、就職活動のさいや、またその先の社会人生活においても、大いに役立つ貴重な財産となります。
 
 履修学生の文部科学大臣賞受賞を励みとし、私たち担当教員もより一層、充実した指導を行いたい思います。
















(文責:上野麻美:日本語関連科目担当)

関連記事
速報! 文部科学大臣賞受賞 日本語検定団体表彰
「日本語検定」団体表彰のご報告 

2017年5月31日水曜日

「ダンボールの街」に遊ぶ

 「心理学ab」や「発達と学習の心理」などを担当する、野田淳子です。GWも明け、真夏のような陽気ですね。同じく真夏日だった4月の連休前、市民フェスティバルの家族イベント「ダンボールの街」企画に、ゼミ生・教職課程の学生たちと参加しました。“子育て・子育ち”をめぐる支援と家族関係の心理学をテーマとする私たちのゼミに「ぜひとも参加して欲しい」と、NPO法人「冒険遊び場の会」の関係者からお声がかかったからです。

  3年前から始まったこの企画は、封鎖した公道で思い思いにダンボールで家などを建て、街と化した道路で遊ぶ1日限りの夢のような時間で、毎年楽しみにしている子どももいるようです。当日はスタッフとして、学生たちと国立の「ひかりプラザ」に朝8:30には集合! 前日の雨で道路にたまった水をコップで掻き出すことから、準備が始まりました。街ですから、町名や番地をつけて、住民登録をする町役場を作り、集めた大量のダンボールを用意し。と、準備を進めていくうちに、あっという間に10時。いよいよ、本編スタートです。

番地をつける
役場建設中


 
 





 


  続々と親子が集まってきて、ダンボールでなにやら真剣に作り始めます。できあがったのは家だけでなく、ロボットや乗り物など、実に様々です。学生たちも負けじと、子どもたちと一緒になって家を作ったり、リヤカー列車が走れば駅を作ったり。ダンボールカッターを持っているスタッフの学生たちは、助っ人としても引っ張りだこです。

どうしたい?
完成!私たちのお家












 自分たちの作った家でお昼を食べてひと休みした後は、「ステージ」と称した街中のスペースで子どもたちの“恋ダンス”やチャンバラが始まります。自分たちの家でごっこあそびをしたり、隣同士で家を訪ね合ったり、お店を開いたり。学生たちは「疲れたけれど楽しかった」「子どもたちの想像力、あらゆることを遊びに変えるパワーは凄い!」と、感心しきりでした。「支援」では「する側」と「される側」に分かれるのではなく、関わることで相互に新たな気づきがあり、「また関わりたい」と思える関係性を築くことが、何よりも大切なのではないかと考えています。

一戦?
輪投げで「遊び屋」営業中


  子どもたちは、自分たちと「対等に」接してくれる大人を求めています。そうした大人の胸を借りて、やりたいことを自分の力で成し遂げたかのように実感した体験が土台になって、自分の世界を広げていく力が育つのではないでしょうか。そういえば、禅の「無心」を“childlikeness”と訳したのは鈴木大拙でした。「子どものような心」を取り戻すとは、どういうことでしょうか? 次回に、また考えてみたいと思います。

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2017年5月25日木曜日

【学問のミカタ】噴火する火山を目の当たりにして

「地球の科学」ほか担当の新正です。

プコンから見たビジャリカ火山
今年度の「学問のミカタ」では、それぞれの研究分野で行っていることの紹介もおこなうということで、「地球科学」に関連して、野外調査での経験を記してみたいと思います。

この2月に南米チリの火山調査に行ってきました。当地の火山を10年以上にわたり研究しているグループの末席でサンプルの若干の化学分析を請け負っている立場で時に現地の調査にも参加させていただいています。

登山ツアーの宣伝
今回自分にとって目玉であったのは、常時活発に活動している火山の一つビジャリカ山(2860 m)に登って噴火の有様を目の当たりにすることができたことです。この山はここ数十年山頂のクレーターに溶岩湖をたたえ、日常は小規模な噴火を繰り返しています(時に大きめの噴火をおこしてクレーターから溶岩があふれ出ることもあります)。

そのような状況でありながら、活動が盛んな時期を除いて専業のガイドの案内のもとに誰でも山頂を訪れることができ(ただしかなり長い登山で山頂近くの氷河も越える必要がありそこそこの健脚が求められます)、麓のプコンの街(チリでも有数の観光地です)にはいくつもの登山ガイド会社が軒を連ねます。そこでは火山ガスや噴火の状況を見て、その日その日の登山の可否を判断しています。

山岳氷河を越えます
チリ・アルゼンチン国境のラニン火山
などが遠望されます

山頂で間欠的に起こる噴火の様子をしばらく眺めていて、少し怖い感じがしたのも事実です。経験のある人が状況を見て判断して登山を行なっているので、一般的に危険な事はないでしょう。実際、一緒に登ったビジャリカ山を長年監視している現地のアマチュア火山学者の方は、何十年も安全におこなわれているよ、と胸を張っていました。

しかし、同様に大変活動的な火山でありながら観光登山が行われているイタリアのエトナ山で、この3月にBBCのスタッフを含む登山客が噴石に巻き込まれるという事態が発生しています(動画含む報道)。

ビジャリカ山でもクレーター内で数分に一度程度起こる小規模な噴火を、クレーターの縁で多くの人々が眺めているわけですが、次の一発が気まぐれに少し大きめになり、人がいるところまで噴石が飛んでくる、という可能性は否定はできません。ただ、頂上で観察される光景は本当に素晴らしく、世界各地からこれを目当てに苦労して登ってくる人がいるのも頷けます。

大勢の人が山頂クレーターを覗き込む


溶岩湖がチラ見えしている
今後は、各地で採取したサンプルを分析して、マグマ生成への水の効果などを調べてゆきます。


今回の調査のビジャリカ山を含む一部行程には撮影クルーが同行していて、そこでの撮影を含めてチリ火山地帯を紹介する番組が先日BSプレミアムで放映されました。再放送もあると思いますので、ご覧いただけると幸いです。


NHK BSプレミアム 「体感!グレートネイチャー」
【学問のミカタ】生まれ月とスポーツ選手(経済学部)
【学問のミカタ】ショッパーマーケティング(経営学部)
【学問のミカタ】スポーツを通して自分を知る(コミュニケーション学部)
【学問のミカタ】刑法ってどう学んでいけばいいの?~2017~ (現代法学部)


2017年4月13日木曜日

「教養入門」開講

全学共通教育センターの科目の中から「教養入門」を紹介します。

これは1年生向け1期配当の科目で、水曜の1限、2限にそれぞれ3コマづつ開講しています。

なぜ3コマ開講か?
それは分野の違う教員3名がリレー形式でそれぞれのクラスを担当するためです。したがってどのクラスであれ3名それぞれの話(+ゲスト講師による講義)を聞くことができます。
ガイダンス風景
(各時限の担当者は水1が徐「人権論」「芸術学」ほか、野田「心理学」ほか、新正「地球の科学」ほか、水2が榎「自然の構造」ほか、早尾「政界政治論」ほか、大貫「心理学」ほか)
それぞれの分野の細切れの知識を教えるのではなく、各分野の立場から見た考え方や物の見方を伝えることを目指しています。

本日(4月12日)に初回のガイダンスを行いましたが、本体の授業は来週から始まります。2次登録が進みつつありますが、興味を持った1年生の方はシラバス等ご覧の上ご検討下さい。

水1チームのシラバス

水2チームのシラバス

2017年3月31日金曜日

語学学習のススメ2017

 新年度の履修登録が始まるのにあたり、東経大の語学科目の紹介をします。

 英語では、1年次必修の「英語コミュニケーションI・II」に加え、2年次以降に選択英語科目として、「Business English I・II」、「Academic English」、 「English & Culture」が開講されています。東経大のアドバンストプログラムの一つとして、実践的な英語能力を養う「英語アドバンストプログラム設置されています。ベーシック科目には、1年次に、必修の英語クラスに合ったレベルで基礎を固める「総合英語セミナー I~IV」、2年次以上で英語の検定試験でのスコアアップを目指す「TOEIC I~III」があります。語学科目ではありませんが、英語を使って様々なテーマに触れる「英語で学ぶ教養」という演習科目もあります。

 英語以外に、選択語学科目として、「ドイツ語」、「フランス語」、「スペイン語」、「イタリア語」、「中国語」、「朝鮮・韓国語」、「日本手話」が開講されています。選択語学科目には1年次以上が履修できる初級と、2年次から履修できる中級があります。これらに加えて、特別語学として、2017年度は、アラビア語」、「タイ語」、「ポルトガル語」、「ロシア語が開講されます。選択語学は、大学で新しいことを学んでみたい人にオススメの少人数授業です。

 さらに、東経大には、大学が指定した語学検定等について、一定以上のスコアや級を取得すると、卒業単位として認定される制度(「資格・検定に関する科目」単位認定制度)があります。また、指定された語学検定に合格した場合、受験料実費を大学が支給する制度(多言語検定受験料助成制度)もあります。

 以上で紹介したのは、全学共通教育センターが提供する総合教育科目の語学科目です。この他に、各学部が提供する科目の中にも、英語などの外国語を使って学ぶ専門科目や、英語をより深く学ぶ専門科目など、語学に関係するものが用意されています。

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2017年3月23日木曜日

【学問のミカタ】いつでもそうだとはかぎりませんよ

 教養講義科目の「自然の構造」ほか担当の榎です。さて、今回の学問のミカタのテーマであるSNSとはいったい何でしょうか?SNSは、スロヴァキアの右派民族主義政党の「スロヴァキア国民党(Slovenská Národná Strana)」の略号です。「SNSって、Social Network Service のことでしょ!」と思う人が多いかもしれませんが、いつでもそうだとは限りませんので注意が必要です。勝手な思い込みで考えると間違えます。そういえば、セルビアの与党第一党の「セルビア進歩党(Srpska Napredna Stranka)」の略号もSNSですね。「セルビア進歩党は、『進歩』と名乗っているのだから、左派の政党だ」と思う人がいるかもしれません。しかし、実際は、左派ではなく右派政党なのです。かつて、カナダには、「カナダ進歩保守党(Progressive Conservative Party of Canada)」という、長年二大政党制の一角を占めていた政党がありました。「進歩」と「保守」は相反する政治の立場だと思ってしまう日本の感覚からすると、どういう政党かよく分かりません。どうやら、「progressive(進歩)」と「conservative(保守)」は、単純に相反する立場ではないようですね。

 
SNS」が「Social Network Service」を指す場合もあれば、「スロヴァキア国民党」を指す場合もあるように、「いつでもそうだとは限らない」のが現実です。「こうに違いない!これが絶対に正しい!これは常識だ!」と単純に思い込んだり、勝手に決めつけてしまったりすると、勘違いして真実が見えなくなって、間違ったり、失敗することがあります。このような失敗をしないためには、「常識というのは立場や時代、地域によって変わることもある」、「正しいはずだが、ひょっとすると違うかもしれない」、「自分の知らない、気づいてない、別の可能性があるかもしれない」などと考えること、つまり、「いつでもそうだとは限らない」と考えることが必要になります。実は、このように考えられるようになることが、「教養」を学ぶ意義なのだと、私は思っています。

 在野の言語学者・哲学者であった三浦つとむの著書に「1たす1は2にならない」という本があります。この本では、多くの人が体験する様々な失敗の事例を分析し、失敗から学ぶことで、同じ失敗を繰り返さないようにするにはどうしたらよいかが説かれています。とても面白くて、おすすめです。この本の最後のまとめに当たる部分から一部引用します。
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ふりかえってみると、この本ではずいぶんさまざまな問題をとりあげてきました。
(中略)

自然にある水は飲めますか?
「いつでもそうだとはかぎりませんよ」

長崎というのは九州の地名ですか?
「いつでもそうだとはかぎりませんよ」

おとなの考えは子どもの考えよりも正しいですか?
「いつでもそうだとはかぎりませんよ」

自分が笑われたのは嘲笑されたからですか?
「いつでもそうだとはかぎりませんよ」

ころんだ人には手をさしのべるのが正しいのですか?
「いつでもそうだとはかぎりませんよ」

目で見ることも手にとることもできないものがあると考えていいですか?
「いつでもそうだとはかぎりませんよ」

一度起こったことはまたくりかえすと考えていいですか?
「いつでもそうだとはかぎりませんよ」

地下鉄は地の下を走りますか?
「いつでもそうだとはかぎりませんよ」

「純粋」なことはよいことですか?
「いつでもそうだとはかぎりませんよ」

距離の近いところを行けば早くつきますか?
「いつでもそうだとはかぎりませんよ」

1たす1は2になりますか?
「いつでもそうだとはかぎりませんよ」

 オヤオヤ、答えはみんな同じになりました。「いつでもそうだとはかぎりませんよ」というのは、私たちがものごとを考えるときにいつでも欠くことのできない、基本的な考え方のようですね。
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 失敗から学び、失敗を繰り返さないためには、「いつでもそうだとはかぎりませんよ」と考えること、つまり、教養が必要だということですね。

参考文献
中東欧・旧ソ連諸国の選挙データ
ポスト社会主義国の選挙・政党データ(ベータ版)
・三浦つとむ著「1たす1は2にならない」明石書店 2006年
  この本は、本学の図書館にも収蔵されています。


【学問のミカタ】3月のテーマ「SNS」
・経済学部ブログ「つながることで増える価値
・経営学部ブログ「スキップされるテレビCM(T_T)
・コミュニケーション学部ブログ「#春から○○
・現代法学部ブログ「SNSは社会の窓 ~学生の皆さんに気を付けてほしいこと~

2017年2月20日月曜日

【学問のミカタ】英語学習のルール?

英語科目担当の中川知佳子です。
突然ですが、みなさんは英語を学習するときに、
どのような勉強方法を選んできましたか?
例えば、英単語はどう覚えてきましたか?

私が担当している総合教育演習(いわゆるゼミ)では
「英語学習を科学する」をテーマに、何となく選んでいる学習方法について、
「それは本当に効果的なのか」という疑問を持って研究しています。

さて、今回は「ルール」というテーマです。

英語のルールといえば何が思い浮かぶでしょうか。
真っ先に「文法」を思い浮かべる人がいれば、
必修英語科目の単位を取得しなければ卒業できない
・・・という大学の「ルール」を思い浮かべる人もいるでしょう。

第二言語習得という研究分野では
「規則/ルール」がつく専門用語はほとんどありません。
あるとしたら「文法」を指す場合でしょう。

研究においては、既に多くの人が同意するような説であっても、
「仮説(hypothesis)」のままであり、
数々の研究によって、常識だと思われていたことが覆ることもあります。

このようなケースに「日本人」が大きく関係している事例を紹介します。

「文法形態素の習得には自然な順序があり、それは普遍的である」という
自然習得順序仮説(クラッシェンという研究者が1977年に提唱)があります。
自然な習得順序は、次の通り。


習得の順番

文法形態素


進行形の-ing、複数形の-s、連結詞のbe


助動詞のbe、冠詞the/a


不規則動詞の過去形


規則動詞の過去 -ed、三人称単数現在の-s、所有の-'s

この仮説を知ると、
確かに、英語の3人称単数現在の-sを身に付ける(使いこなす)のは
難しいよね・・・と思えます。

けれど、日本人の場合、


という直感が働きます。

実際に、日本人英語学習者の習得順序を調べた研究では、
「自然な習得順序」と一致していませんでした。
日本人のデータから「普遍的である」という仮説は覆せそうです。

研究成果や時代のニーズによって、
「効果的な指導法(学習法)」と言われるものも、変化しています。

言語学習では「先生が言ったことが絶対!」ではありません。
教師も、自分が教わった方法や、体験した方法を教えがちです。
好みは人それぞれ。効果的な方法も人それぞれ。
「自分にとって効果的な学習方法は何か」を考えることが大切ですね。

ルールを守ることは大切ですが、
「常識」だと言われるものを疑うこと、確かめることも必要
・・・という話でした。

【学問のミカタ】2月のテーマ「ルール」
・経済学部ブログ「経済学とルールの関係性
・経営学部ブログ「実際の特長を広告で表現できない?!
・コミュニケーション学部ブログ「ルールブックにない"ルール"
・現代法学部ブログ「法も「ルール」~そんな「法」の学び方をお教えしましょう~

2017年2月2日木曜日

2016年度「総合教育研究」発表会レポート

2017年2月2日(木曜日)に「総合教育研究」の発表会が行われました。「総合教育研究」は卒業研究に相当し、多くの学生は「総合教育演習」で学んだ成果を発展させて、論文や制作にまとめあげます。

2014年度より全学共通教育センターの公式行事として発表会を催しています。今年は、澁谷先生・中川先生・高津先生・徐先生それぞれご指導の計4名の学生が発表しました。

20分の持ち時間を使ってそれぞれ発表したのち、さかんな質疑応答が行われました。上の番組に示したように、様々な分野の発表があるところが「総合教育研究」の特徴です。それらに対して様々な異分野の教員が質問・コメントし、学生たちは苦労しながらも一生懸命回答していました。分野の異なる聴衆に対してわかるように発表し、予想しない質問に対応するというところも、大切なトレーニングの場と言えるでしょう。


発表学生への表彰のようす
発表終了後、数名の教員からの講評がなされ、引き続き麻生センター長より発表学生をねぎらい表彰が行われました。

さらにすこし居残って、個別にさまざまな振り返りがなされました。

試験やその他多忙な中準備をして発表された学生さんは本当にお疲れ様でした。またご聴講いただいた学生、先生方に厚く御礼申し上げます。「地球の科学」ほか担当の新正が記しました。

2015年度「総合教育研究」発表会レポート(2016年2月3日)
2014年度「総合教育研究」発表会レポート(2015年2月2日)

2017年1月22日日曜日

【学問のミカタ】絵画から見えてくる中世の冬

 外国史Iなどを担当している高津です。毎日寒いですね。昨日は少し雪も降りました。しかし、拙宅には床暖房もエアコンもお風呂もあり、快適です。
 ところで、当然といえば当然ですが、中世ヨーロッパの人びとはこうした「文明の利器」の恩恵を受けることはできませんでした。
 ルネサンスの画家ハンス・ホルバインの描いた、ロッテルダムのエラスムスの肖像画があります(ルーヴル美術館の解説)。書き物に集中するエラスムスの様子を描いた作品で、繊細な学者の内面までも明らかにするかのような傑作です・・・が、ちょっと気になります。

 なんでこの人は家の中で毛皮のコートなんて着ているのだろう?

 しかし、考えてみれば当然のことかもしれません。ヨーロッパの冬は現在でも寒いですが、16世紀は「小氷河期」といわれ、一層寒かったようです。そしてエラスムスは生来病気がちでありました・・・ということを脇に置いても、最も根本的な理由はとても単純です。エラスムスの家には床暖房もエアコンもなかったのです。あるのはせいぜい火の周辺だけを温めることができる暖炉だけ。病弱なエラスムスならずとも、コートがなければ凍えてしまうでしょう。

 「機動戦士ガンダム・ユニコーン」にも登場した「貴婦人と一角獣」と呼ばれるタペストリー(壁掛け)があります。500年以上の時を経てもなお鮮やかな色彩を保ち、「中世の秋」の時代を代表する作品です。フランスのパリにあり、ほとんど海外に貸し出されることのないこの作品は、数年前に来日し、大きな話題を集めました。私も展覧会を訪れ、美しさに感動しました。
 しかし、中世の人びとにとって、「貴婦人と一角獣」はいかなる意味を持っていたでしょうか。偉大な芸術作品?いえいえ。彼らにとって、この作品は何よりも「防寒」のための「家具」であったのです。もちろん、「貴婦人と一角獣」の美しさは、時代を超えて全ての人びとに訴えるものでしょう。しかし、このタペストリーをエアコンの利いた快適な博物館で鑑賞することができる私たちは、中世の人びとよりもずっと恵まれているのかもしれません。

 歴史学は、時代、そして地域を異にする「他者」である人びとを理解しようとする試みです。しかしこれは時に難しい。それも「寒さ」とか「暑さ」とか、「恐れ」とか「喜び」とか、一見人間が普遍的に抱くような感情や感覚が、実は意外に実感できないものなのです。

 最後にもう一枚、現代とは比較にならないほど厳しい中世の冬を体感できそうな絵画を一枚紹介しておきましょう。ペーター・ブリューゲルの「雪中の狩人」(Wikipediaの解説)は、人びとを押しつぶしそうな冬の重々しさを示して余すところがありません。

【学問のミカタ】1月のテーマ「冬」
・経済学部ブログ「マシュマロ・テスト
・経営学部ブログ「通年商品でも冬の売れ方と夏の売れ方は違います。
・コミュニケーション学部ブログ「冬とシェイクスピア
・現代法学部ブログ「平等とは?

2017年1月17日火曜日

TKUサイエンスツアー 国立極地研究所見学

「地球の科学」ほか担当の新正です。

東経大では2011年度から「サイエンスツアー」で野外や様々な研究施設等を訪ねてきました。今年度からは、近隣の施設を尋ねようということで、2016年度第2回のツアーとして1月13日の午後に立川にある国立極地研究所に出かけてきました。

多摩モノレールの高松駅から歩いて極地研に向かいます。

到着後まず2班に分かれて、研究室を訪れます。一つは隕石関係の部署です。なぜ極地研究所で隕石なのか?実は南極では沢山の隕石が採取されており、それが極地研にアーカイブされています。南極の氷床で隕石が見つかる理由の解説をいただいた後、様々な種類の隕石(火星隕石や月隕石を含む)を実際手にとって見学しました(もちろん袋の上からです)。

もう一つはSHRIMP(高感度高分解能イオンマイクロプローブ)ラボラトリーです。日本に4台しかないマシンの2台がここにあります。これは、数ミクロンから30ミクロン径の一次イオンビームをプローブ(探り針)として試料に照射し発生した2次イオンを質量分析するというものです。特に地球科学に大きな影響を与えたのは、鉱物一粒一粒の微少領域からその形成年代を求めることができるようになったことで、地球で一番古い鉱物、一番古い岩石などがSHRIMPで決定されたこと、また極地研のSHRIMPで日本で一番古い鉱物粒子の発見(pdf)がなされた一方、世界で一番若い花コウ岩の研究も行っている旨紹介がありました。また共同利用機関として外部からの研究を受け入れていることも説明されました。

南極・北極科学館の外には犬の像が。
最初の越冬での犬ぞりの意義を科学館での
説明で伺いました。
これらラボ見学の後は併設の南極・北極科学館を簡単な概要説明を受けたのち思い思いに見学しました。

終了後立川まで移動して解散。お疲れ様でした。

人文・社会科学系の学部に所属する学生にとって、科学の成果を知ることも大切ですが、研究の現場を見ることが、より貴重な経験になるものと考えます。その点で今回ラボ見学をして現場の研究者から丁寧にお話を聞けたことは意義深かったと思います。

見学にさいしては広報室の宮下様、両ラボの今栄先生、堀江先生に大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。

参考
TKUサイエンスツアー「音を科学する」リオン株式会社見学(2016年7月14日)
TKUサイエンスカフェ「ブラックホール、ビッグバン、そして次元 ~人に話したくなる宇宙のおはなし~」(2016年6月23日)
TKUサイエンスカフェ「コスモスを秋桜と書く理由、秋桜が春に咲く理由」(2016年11月10日)

2017年1月11日水曜日

海外ゼミ研修 ~ハワイでボランティアと研究調査~

 英語を担当しているカレイラです。私のゼミ(総合教育演習)の1つの目標が英語で日本文化を発信するということで、2016年の9月にハワイのホノルルで、小学校では折り紙を老人ホームでは落語と折り紙を英語で行ってきました。本ゼミには英語が得意な学生から苦手な学生までいろいろな学生がおりますが、各自の持ち味を生かしてどの学生も頑張って英語を駆使して日本文化を伝えてきました。以下は今回リーダとして頑張った伊藤君からのレポートです。

折り紙教室

 私たちはこの夏にハワイで現地の小学校でのボランティアとグループ研究の資料作成を目的とした合宿を行いました。

 小学校でのボランティアでは、小学2・3年生の子供たちに、折り紙でピョンピョンガエルやとんとん相撲などを教えました。この活動を行うにあたって前期の授業期間から、折り方を教える際に必要となる独特の言い回しを調べるなどし、準備を進めました。現地では事前準備のおかげもあり、各班とも子供たちとたくさんコミュニケーションを取ることができ、順調に活動を進めることができました。ここで意外だったのは、子供たちが日本についてよく知っていて、日本のアニメなどの話を多く話してきてくれたことでした。

 グループ研究に関しては、事前にインターネット等で調べた情報に加えて、現地にあるハワイ日本文化センターやビショップ博物館などで資料を集め、必要に応じて現地の人々に街頭調査を行いました。特に街頭調査の際には、一般の通行人の方に自発的に声を掛けて質問をしたので、英語力とともにコミュニケーション能力も鍛えることができました。

 今回のハワイの合宿ではバスでの移動やホテルのチェックインの際など普段の生活の中でも多くの場面で英語を話す機会があり、また、ボランティアワークや街頭調査でより自発的な英語でのコミュニケーションを行うことができたので、学ぶことが多かったです。

※この記事は「父母の会ニュース」第118号に掲載されたものです。

関連リンク
東京経済大学 国際交流のページ
海外ゼミ研修 ~ベトナムでの学生交流プログラム~(2016年度 関ゼミ)
海外ゼミ研修 ~英語で日本文化を発信~ (2015年度 カレイラゼミ)
海外ゼミ研修 in Hawaii (2013年度 新正ゼミ、榎ゼミほか)