2019年3月25日月曜日

【学問のミカタ】論文執筆と翻訳と

 「世界政治論」他を担当している早尾貴紀です。

 ここ3年連続で研究書の翻訳を出しました(研究仲間らとの共訳で)。いちばん最近のだと、この2月に出したエラ・ショハット&ロバート・スタム『支配と抵抗の映像文化』(法政大学出版局)というものですが、ともあれこれでここ数年取り組んできた大きな翻訳仕事3冊が一段落してホッとしたところです。難解なうえに分量も多く、さらに翻訳には「版権」という刊行期限があるので、スケジュールが切羽詰まってとてもたいへんでした。ですので、正直なところもうしばらくは翻訳の仕事はしたくないなぁ、と思っています。

 ところで、研究者にとって「翻訳」とは何でしょうか。それは一言で言えば、世界的な視点で見てきわめて重要な研究を日本語圏に正確に紹介導入することで、自分の研究をより深めると同時に、関連する研究分野のコミュニティや日本語圏で暮らす市民社会でそうした高い研究水準の書物の議論を共有することです。

 さて、研究活動と翻訳に関して、私の個人的なバランスとサイクルのことを書いておきます。翻訳に没頭していると、翻訳をするのに引用文献にも当たったり、適切な訳語を探すために関連分野の勉強をしたりなどして、ものすごく勉強が進みます。そうして数年集中していると、次第に自分自身で研究論文を書きたいという欲求が高まってきます。実際、翻訳に邁進する時期が一段落すると、論文を積極的に書く時期に切り替わっていきます。

 ところがです。論文を書いて、また次の論文を書いて、と続けていくと、次第に自分が空っぽになっていく気がするのです。そしてさらに、自分が書いている論文がスカスカなものに感じられるようになり、そんな論文を書くぐらいなら、むしろ世界レベルの研究書の翻訳紹介をしていたほうが世のため人のためになるのではないか、という気分になってきます。そうしてまた翻訳作業をする時期に切り替わっていきます。

 私の場合は、数年サイクルでそういう気持ちの切り替わりが起きているようです。あくまで私の場合はですが。ということで、今年から数年は書く時期です!

3月の【学問のミカタ】
・経済学部「東京一極集中とは
・経営学部「ピークですね (T_T)
・コミュニケーション学部「『コミュニケーション学』の海へ漕ぎだすために
・現代法学部「旅先で見つける海外法律事情
・キャリアデザインプログラム「ジョブシャドウイングは『観察学習』のキャリア教育プログラム

2019年3月14日木曜日

2019年度「特別授業」のご紹介

 新年度の授業履修登録の時期が近づいてきました。今回は全学共通教育センターが開講する「特別授業」をご紹介したいと思います。その中には「特別講義」と「特別語学」があります。

 「特別授業」とは、「卒業要件表」には載っていない、通常のカリキュラムとは別の授業のことで、今学んでほしいホットな内容を扱いたい場合などに、期限付きで開講するものです。2019年度、全学共通教育センターでは以下の「特別講義」を開講します(科目名をクリックするとシラバスを読むことができます)。

中国事情
多様性社会に資する心理支援を実践する a
多様性社会に資する心理支援を実践する b
多文化主義と現代社会 a 
多文化主義と現代社会b
書を読もう、図書館へ行こう!

 「特別語学」とは、2~3年の期限付きで開講される語学の授業です。本学では、毎年開講される常設の語学科目として「英語」、「ドイツ語」、「フランス語」、「スペイン語」、「イタリア語」、「中国語」、「朝鮮・韓国語」、「日本手話」を用意しています。特別語学はこれらとは別のもので、2019年度は下記の4つを開講します。

タイ語
アラビア語
ロシア語
トルコ語

 以上、全学教育共通センターが提供する特別授業の紹介でした。各学部の専門科目にも特別授業があります。特別授業は、今、学んでほしい科目ですので、履修の候補として検討してもらえればと思います。