自然の構造ほか担当の榎基宏です。12月20日(金)に、学習センターにて開かれたTKUサイエンスカフェの報告です。今回の講師は、立正大学地球環境科学部地理学科の宇津川喬子さんで、「砂の”声”を聞く」というタイトルでお話しされ、20名近くの方が参加しました。
講師の宇津川さんは、今年度より、本学で自然地理学の講師を勤めておられます。今回のサイエンスカフェのテーマは、宇津川さんの専門である「砂」でした。「砂」がどのように生まれ、どのように運ばれたのか、を研究することで、どういうことが分かるのかについての科学的な解説をした上で、現代の日本が抱えている「砂」が係わる社会的問題についてお話しくださいました。
サイエンスカフェは、お菓子を食べ、お茶を飲みながら、最先端の科学研究を気楽に学ぶ場です。本学では、2011年度から、「TKUサイエンスカフェ」と銘打ったサイエンスカフェを開催しています。
参考)これまでのTKUサイエンスカフェのレポート(2017年度以降)
2017年度第1回「映像世界と身体感覚」
2017年度第2回「時間とは何だろう」
2018年度 「静電気と放電」
2019年12月25日水曜日
2019年12月18日水曜日
2019年度「総合教育演習ゼミ報告会」レポート
12月14日(土)に、全学共通教育センターに所属する教員が担当する「総合教育演習」のゼミ報告会が開催されました。今年度は12ゼミが参加し、発表件数は25件にのぼりました。発表件数が昨年より増えたため、今年度は3会場に分かれての報告会となりました(昨年度までは2会場)。
総合教育演習のゼミのテーマは、人文学・社会科学・自然科学などなど非常に幅広く、そのため、発表は、内容・スタイル共に各ゼミの個性を反映した、多彩な報告会となりました。報告会終了後は、進一層館交流ロビーで懇親会が行われました。立食のもとで、発表時の質疑応答の続きが行われたりなど、大変盛り上がりました。
このような報告会で発表すること、そして他のゼミの発表を見ることは、自分たちのゼミ活動を振り返ることにつながります。今回の経験を今後に活かしていってほしいと考えます。「自然の構造」他担当の榎基宏が記しました。
*関連記事
・2019年度「総合教育演習ゼミ報告会」のご案内
・2018年度「総合教育演習ゼミ報告会」レポート
・2017年度 総合教育演習「ゼミ報告会」を行いました
・2016年度 総合教育演習「ゼミ報告会」を行いました
・2015年度 全学共通教育センター ゼミ報告会が行われました
・2014年度 全学共通教育センター ゼミ報告会レポート
・2013年度「総合教育演習」ゼミ研究報告会のご案内
総合教育演習のゼミのテーマは、人文学・社会科学・自然科学などなど非常に幅広く、そのため、発表は、内容・スタイル共に各ゼミの個性を反映した、多彩な報告会となりました。報告会終了後は、進一層館交流ロビーで懇親会が行われました。立食のもとで、発表時の質疑応答の続きが行われたりなど、大変盛り上がりました。
このような報告会で発表すること、そして他のゼミの発表を見ることは、自分たちのゼミ活動を振り返ることにつながります。今回の経験を今後に活かしていってほしいと考えます。「自然の構造」他担当の榎基宏が記しました。
*関連記事
・2019年度「総合教育演習ゼミ報告会」のご案内
・2018年度「総合教育演習ゼミ報告会」レポート
・2017年度 総合教育演習「ゼミ報告会」を行いました
・2016年度 総合教育演習「ゼミ報告会」を行いました
・2015年度 全学共通教育センター ゼミ報告会が行われました
・2014年度 全学共通教育センター ゼミ報告会レポート
・2013年度「総合教育演習」ゼミ研究報告会のご案内
2019年12月10日火曜日
2019年度「総合教育演習ゼミ報告会」のご案内
来る12月14日(土)の13:30より、1号館3階A308、A309、A310教室にて、総合教育演習ゼミ報告会を開催します。「総合教育演習」は、全学共通教育センターが開講している教養を学ぶためのゼミで、人文学、社会科学、自然科学の幅広いテーマを対象とする個性豊かなゼミがそろっています。今年度は12ゼミが参加、25ユニットの発表が予定されています。
このゼミ報告会は、本学在学生はもちろんのこと、在学生の保護者や、高校の先生・生徒・保護者の方々にも公開しています。申し込み不要、出入り自由です。当日は、経済学部のゼミ研究報告会(2号館1,2階)と経営学部のゼミ研究報告会(1号館3,4階)も行われます。これらの会場にも自由に出入りして参観することもできます。
ゼミ選び中の在学生の方、大学での学びに興味のある方、多くのご来場をお待ちしています。
(参考)昨年度のゼミ報告会の様子
・2018年度「総合教育演習ゼミ報告会」レポート
このゼミ報告会は、本学在学生はもちろんのこと、在学生の保護者や、高校の先生・生徒・保護者の方々にも公開しています。申し込み不要、出入り自由です。当日は、経済学部のゼミ研究報告会(2号館1,2階)と経営学部のゼミ研究報告会(1号館3,4階)も行われます。これらの会場にも自由に出入りして参観することもできます。
ゼミ選び中の在学生の方、大学での学びに興味のある方、多くのご来場をお待ちしています。
(参考)昨年度のゼミ報告会の様子
・2018年度「総合教育演習ゼミ報告会」レポート
2019年12月3日火曜日
最近の図書館いろいろ
倫理学とフランス語担当の相澤伸依です。この秋冬も図書館で選書展示を企画しました。
一つ目は「食の本」展示。五人の同僚と一緒に食をテーマにおすすめの本を選び、展示しています。 選書展示を通じて、自分一人では出会えなかった本に出会うことが嬉しく、また同僚が紹介した本を読んで同僚の人となりを知るのが楽しい。それがモチベーションとなって毎年展示を企画しています。いわば私の楽しみに協力してくれる同僚には感謝しかありません。
もう一つの展示は、11/26に実施したブックトーク「急に具合が悪くなる」との連動選書です。同イベントのゲスト磯野真穂さん(人類学者)と私の二人で、おすすめの本を選びました。 磯野さんは、宮野真生子さん(哲学者)との共著『急に具合が悪くなる』(晶文社)を今年9月に出版されました。この本は、癌を患い死を前にした宮野さんと磯野さんによる往復書簡をまとめたもの。悲しい闘病記ではなく、病と死を背景に展開する奇妙な思想書です。宮野さんは闘病の末に7月末に逝去され、この本は死後出版となりました。私にとって、宮野さんは優れた研究仲間であり大事な友人でした。彼女の最後の思索をぜひとも多くの学生に伝えたいと思い、このイベントと選書展示を企画した次第です。 展示では、同書の提起する問題について考察を深める材料になる本を並べています。
「食の本」展示と「急に具合が悪くなる」展示、いずれも、図書館一階ブックウォールDで展開中です。夜が深まるこの季節、本に出会う機会にしていただければ幸いです。
一つ目は「食の本」展示。五人の同僚と一緒に食をテーマにおすすめの本を選び、展示しています。 選書展示を通じて、自分一人では出会えなかった本に出会うことが嬉しく、また同僚が紹介した本を読んで同僚の人となりを知るのが楽しい。それがモチベーションとなって毎年展示を企画しています。いわば私の楽しみに協力してくれる同僚には感謝しかありません。
| 図書館ご担当者の手の凝ったPOP |
| 本棚の様子 |
もう一つの展示は、11/26に実施したブックトーク「急に具合が悪くなる」との連動選書です。同イベントのゲスト磯野真穂さん(人類学者)と私の二人で、おすすめの本を選びました。 磯野さんは、宮野真生子さん(哲学者)との共著『急に具合が悪くなる』(晶文社)を今年9月に出版されました。この本は、癌を患い死を前にした宮野さんと磯野さんによる往復書簡をまとめたもの。悲しい闘病記ではなく、病と死を背景に展開する奇妙な思想書です。宮野さんは闘病の末に7月末に逝去され、この本は死後出版となりました。私にとって、宮野さんは優れた研究仲間であり大事な友人でした。彼女の最後の思索をぜひとも多くの学生に伝えたいと思い、このイベントと選書展示を企画した次第です。 展示では、同書の提起する問題について考察を深める材料になる本を並べています。
![]() |
| ブックトーク当日の様子 |
| 宮野さん、磯野さんのお仕事も紹介しています |
「食の本」展示と「急に具合が悪くなる」展示、いずれも、図書館一階ブックウォールDで展開中です。夜が深まるこの季節、本に出会う機会にしていただければ幸いです。
2019年11月29日金曜日
青少年の成長を支える
心理学ほか担当の大貫敬一です。前々回(10/16)の記事で野田淳子先生が特別授業「多様性社会に資する心理支援を実践する b」の授業を紹介していますが、今回はその続きを取り上げてみましょう。特別授業ではテーマごとにゲスト講師を招いて、現場ではどのような実践がなされているのか講義をしていただいています。11/18の回では「青少年と心理支援」のテーマのもと、NPO法人「青少年の居場所 キートス(kiitos)」代表の白旗眞生さんに「生きづらさを抱えている若者たち」と題してお話をしていただきました。
その内容に入る前に、皆さんが知っていることから考えてみましょう。「子ども食堂」が全国に広がっていることを知っていますか?それはどうしてでしょうか?何が課題になっていると思いますか?「貧困」、「格差」・・・といったことが思いつくと同時に、何らかの事情で皆が一緒に食事をすることができない「家族」の現状があることも想像できると思います。
キートスは京王線沿線のマンションの2階にあります。一度訪問したことがあるのですが、夕方、3,4人のボランティアの方々が食事の用意をしていました。子どもたちに温かく栄養豊富な食事が提供されています(NHKの番組「絶品!東京リアルめし」で紹介されました)。
しかし、文字通り食事を提供しているだけではありません。白旗さんは授業の中で「皆で食事をしていると自然に自分のことを話したくなりませんか」と学生に問いかけていました。子どもの頃に家族で食事をしながら「今日学校でこんなことがあった」と話す家庭の雰囲気を、子どもの頃も、そして現在も十分に味わうことができなかった子どもたちがいます。食事風景は家族の絆、家庭の温かさ、安心の基盤なのに、です。
キートスでは、来るときは靴を脱いで上がって「ただいま」「おかえり」、出かけるときは「行ってきます」「行ってらっしゃい」と、できるだけ「家」のように感じられる居場所になっています。ここを訪れるのは、人との関わりがうまくいかなかったり、一筋縄ではいかない複雑な家庭環境で育つなど、「生きづらさ」を感じている青少年たちです。そのような青少年たちがスタッフに相談したり、仲間をつくったり、「誕生日会」を開いてもらったり、勉強を教えてもらったり(学習支援)、進学や就職の手助けをしてもらったりしています(教育支援・就職支援)。白旗さんは、そのような活動を青少年に「とまり木」を提供していると表現しています(NHKの番組「“止まり木”におかえり~東京調布・居場所支援を見つめて~」で紹介されました)。
白旗さんはキートスを開設したきっかけについて、青少年は基本的に18歳になると自立する前提で法律や制度がつくられているが、現代社会では実際に18歳で仕事に就いてしっかり自立できるほど社会環境は甘くないし、精神的に未成熟な若者は少なくない、そこで18歳を超えても安心していることができる「居場所」を提供したいと考えたと語っていました。
心理学では、精神分析理論でも愛着理論においても、人との関係において安心や信頼を感じることによって初めて次の段階に進むことができる(自立する、世界を広げる)と考えられています。精神的な意味での青年期は10歳から12歳ごろに入り、20代から30才頃までに通過していくと考えられていますが、その時期は自分の世界を造り自立していく大事な時期であると同時に、不安定で不安な時期でもあります。また、ハシゴをかけて高いところに登ろうとするとき、まずハシゴがしっかりしているか確かめるように、青年は自分自身を確かめながら次の段階に進もうとします。キートスは、そのような時期にある青少年の心身の成長を支える居場所や人との関わりを提供しているのだと思います。
アイデンティティという概念を提唱したE.H.エリクソンは、アイデンティティの獲得とは、社会の中に心理的にも自分にピッタリな「居場所」を見つけること、と説明しています。まず「止まり木」を提供し、そこから自分にとっての社会の居場所を見つけて巣立っていく手助けをすることは、青少年の心理支援としてとても大事な仕事です。
ところで、経済、経営、法律、行政などを学んでいる学生は、様々な支援を提供しているキートスがどのように運営されているのか興味深く感じると思います。運営資金は、個人の寄付金や賛助会会費、市の補助金や民間機関からの助成金や寄付金、フードバンクからの食品提供などで支えられ、活動に関しては様々な立場や年齢の多数のボランティアに支えられています。行政は制度上の制約や財政的な理由からこのような場を提供することができず、NPOに委託したり補助金を出しているのが現状かも知れません。そのような観点から支援の在り方について考えることも重要です。キートス(kiitos:フィンランド語で「ありがとう」)や青少年の支援に関心のある方は、キートスのホームページなどを手掛かりにぜひ調べてみてください。
・関連記事
私たちの常識は、非常識?
真のダイバーシティ,実現に向けて
| キートスの白旗眞生さん |
その内容に入る前に、皆さんが知っていることから考えてみましょう。「子ども食堂」が全国に広がっていることを知っていますか?それはどうしてでしょうか?何が課題になっていると思いますか?「貧困」、「格差」・・・といったことが思いつくと同時に、何らかの事情で皆が一緒に食事をすることができない「家族」の現状があることも想像できると思います。
キートスは京王線沿線のマンションの2階にあります。一度訪問したことがあるのですが、夕方、3,4人のボランティアの方々が食事の用意をしていました。子どもたちに温かく栄養豊富な食事が提供されています(NHKの番組「絶品!東京リアルめし」で紹介されました)。
しかし、文字通り食事を提供しているだけではありません。白旗さんは授業の中で「皆で食事をしていると自然に自分のことを話したくなりませんか」と学生に問いかけていました。子どもの頃に家族で食事をしながら「今日学校でこんなことがあった」と話す家庭の雰囲気を、子どもの頃も、そして現在も十分に味わうことができなかった子どもたちがいます。食事風景は家族の絆、家庭の温かさ、安心の基盤なのに、です。
キートスでは、来るときは靴を脱いで上がって「ただいま」「おかえり」、出かけるときは「行ってきます」「行ってらっしゃい」と、できるだけ「家」のように感じられる居場所になっています。ここを訪れるのは、人との関わりがうまくいかなかったり、一筋縄ではいかない複雑な家庭環境で育つなど、「生きづらさ」を感じている青少年たちです。そのような青少年たちがスタッフに相談したり、仲間をつくったり、「誕生日会」を開いてもらったり、勉強を教えてもらったり(学習支援)、進学や就職の手助けをしてもらったりしています(教育支援・就職支援)。白旗さんは、そのような活動を青少年に「とまり木」を提供していると表現しています(NHKの番組「“止まり木”におかえり~東京調布・居場所支援を見つめて~」で紹介されました)。
白旗さんはキートスを開設したきっかけについて、青少年は基本的に18歳になると自立する前提で法律や制度がつくられているが、現代社会では実際に18歳で仕事に就いてしっかり自立できるほど社会環境は甘くないし、精神的に未成熟な若者は少なくない、そこで18歳を超えても安心していることができる「居場所」を提供したいと考えたと語っていました。
心理学では、精神分析理論でも愛着理論においても、人との関係において安心や信頼を感じることによって初めて次の段階に進むことができる(自立する、世界を広げる)と考えられています。精神的な意味での青年期は10歳から12歳ごろに入り、20代から30才頃までに通過していくと考えられていますが、その時期は自分の世界を造り自立していく大事な時期であると同時に、不安定で不安な時期でもあります。また、ハシゴをかけて高いところに登ろうとするとき、まずハシゴがしっかりしているか確かめるように、青年は自分自身を確かめながら次の段階に進もうとします。キートスは、そのような時期にある青少年の心身の成長を支える居場所や人との関わりを提供しているのだと思います。
アイデンティティという概念を提唱したE.H.エリクソンは、アイデンティティの獲得とは、社会の中に心理的にも自分にピッタリな「居場所」を見つけること、と説明しています。まず「止まり木」を提供し、そこから自分にとっての社会の居場所を見つけて巣立っていく手助けをすることは、青少年の心理支援としてとても大事な仕事です。
ところで、経済、経営、法律、行政などを学んでいる学生は、様々な支援を提供しているキートスがどのように運営されているのか興味深く感じると思います。運営資金は、個人の寄付金や賛助会会費、市の補助金や民間機関からの助成金や寄付金、フードバンクからの食品提供などで支えられ、活動に関しては様々な立場や年齢の多数のボランティアに支えられています。行政は制度上の制約や財政的な理由からこのような場を提供することができず、NPOに委託したり補助金を出しているのが現状かも知れません。そのような観点から支援の在り方について考えることも重要です。キートス(kiitos:フィンランド語で「ありがとう」)や青少年の支援に関心のある方は、キートスのホームページなどを手掛かりにぜひ調べてみてください。
| 授業の様子 |
・関連記事
私たちの常識は、非常識?
真のダイバーシティ,実現に向けて
2019年10月30日水曜日
三鷹・星と宇宙の日2019
「自然の構造」他担当の榎基宏です。10月26日(土)に私が担当する総合教育演習の「天文ゼミ」で、国立天文台三鷹キャンパスの特別公開「三鷹・星の宇宙の日2019」の見学に行きました。
国立天文台三鷹キャンパスは、通常、「常時公開」されており、一部施設の見学ができます。さらに、月に2回、望遠鏡で天体を見る「定例観望会」が開かれています。これらとは別に、年に一回、特別公開日である「三鷹・星と宇宙の日」があります。この日には、常時公開では見学できない施設も公開され、研究部署ごとの研究の解説展示や、講演会、天体観望会などが行われます。
天文ゼミでは、例年、特別公開日に見学に行っています。2年生の時から3年連続で参加した4年生のゼミ生さんもいます。今年も、太陽塔望遠鏡や重力波アンテナTAMA300などの様々な施設を見学し、銀河探しゲームや中華鍋を使っての宇宙から来る衛星放送電波の受信などに挑戦したり、サイエンスカフェに参加したりしました。
今回参加された学生さんの感想の一部を以下に掲載します。
・三鷹・星と宇宙の日2018見学報告
・入笠山でゼミ合宿(2019年天文ゼミ合宿報告)
国立天文台三鷹キャンパスは、通常、「常時公開」されており、一部施設の見学ができます。さらに、月に2回、望遠鏡で天体を見る「定例観望会」が開かれています。これらとは別に、年に一回、特別公開日である「三鷹・星と宇宙の日」があります。この日には、常時公開では見学できない施設も公開され、研究部署ごとの研究の解説展示や、講演会、天体観望会などが行われます。
天文ゼミでは、例年、特別公開日に見学に行っています。2年生の時から3年連続で参加した4年生のゼミ生さんもいます。今年も、太陽塔望遠鏡や重力波アンテナTAMA300などの様々な施設を見学し、銀河探しゲームや中華鍋を使っての宇宙から来る衛星放送電波の受信などに挑戦したり、サイエンスカフェに参加したりしました。
![]() |
| 左:電波望遠の前で 右:太陽塔望遠鏡の内部 |
![]() |
| 銀河探しゲーム挑戦中 |
今回参加された学生さんの感想の一部を以下に掲載します。
- 古い歴史的な天文学の技術から、最先端の宇宙研究の話題まで幅広く学べていい機会だった。
- 中華鍋での衛星放送の受信は、思ったより早く電波が拾えて、BS放送がきれいに映った。
- 例年参加している銀河探しゲームは、前年度に比べて探すスピードが上がって面白かった。
- 青空サイエンスカフェに参加した。幼稚園生くらいの小さな子供も積極的に話に加わっていて、演者と聴衆が対話できるサイエンスカフェの醍醐味を実感できた。
実際に、見て聞いて参加して、いろいろなことを学ぶことができたようです。
・三鷹・星と宇宙の日2018見学報告
・入笠山でゼミ合宿(2019年天文ゼミ合宿報告)
2019年10月16日水曜日
私たちの常識は、非常識?
心理学など担当の野田淳子です。今年も1期から始まった「多様性社会に資する心理支援を実践するa(1期)、b(2期)」の特別授業が、早くも2期(後期)に突入しました。2期は2回目の授業にしてゲスト講師をお呼びするという大胆な構成で、ご登壇くださった山本篤さん(関東聴覚障害学生サポートセンター)が開口一番、「この中で、聴覚障害の人に会ったことのある方はありますか?」と質問すると、意外にも一定数の学生がパラパラと手を挙げました。アルバイトで接客をした経験のある学生も、複数あったようです。
山本さんは重度の聴覚障害をお持ちの当事者で、現在は右耳のみ補聴器をつけてかろうじて聴き取れる程度の聴力だそうです。普段は大学等で障害を持つ学生や教職員のサポートに携わる仕事をされていますが、今回は「ろう者の常識は、聴者の非常識?」という興味深いタイトルで、2名の手話通訳者の方の言葉を通して授業をして頂きました。ちなみに手話通訳は、英語ニュースの同時通訳のようなスキルと労力を要するため、内容や時間によっては2名以上付くことがあるのです。実は「口話」もできる山本さんですが、手話の重要性に気づいて大学時代にマスターされたそうで、手話のほうがより多くの考えをきちんと伝えることができるため、「授業は手話で」という話になりました。たとえ聴覚障害を持つ方と出会ったことのある学生でも、多くは「耳が聞こえないから補聴器をつけている」など漠然としたイメージがある程度で、同じ「聴覚障害」でもその聞こえ方は人それぞれであること、補聴器をつければ音が聴こえるとは限らないことをはじめ、「ろう者」と「聴覚障害者」の違いなど、初めて知ることばかりだったようです。
“ワークショップ形式”のグループワークでは「ろう者と聴者のすれ違い」や「ろう者の困難」に焦点を当て、ろう者(聴覚障害者)に関して「どんなところで困っていそうか?」「接して、自分はどんなところで困ったか?」といったお題が出されました。山本さんは各グループの見解ひとつひとつ、例えば「演劇を見るときに困るのでは」という意見には「良い質問です!最近は芝居の音声を字幕化するタブレットを貸し出すところも増えています。先日は字幕のタブレットを見て、歌舞伎を楽しみました」、「(ろう者と)ぶつかりそうになった」という経験に対しては「これはどういう意味でしょう?ろう者は聞こえない分、注意して周囲を見回したりすることもあるのですが、どういう状況だったのでしょうか?」など丁寧にコメントをして下さり、広がっていく対話に学生達も身を乗り出して参加していました。「沸騰したお湯やインターホンの音がわからない」「飲食店での注文が難しい」「適切な声や音の大きさが解らない」「補聴器をイヤホンと勘違いされる」といった日常の困りごとから、「災害時の警報に気づけない」「キャッシュカード紛失時の本人確認が電話でできない」「歩道で自転車の呼び鈴に気づけず、ぶつかってしまった」など深刻な出来事に至るまでお話しいただき、「自分が想像する以上に、ろう者の方が感じる困難が多かった」との声が、授業後のレポートでは多数寄せられました。「赤ちゃんの泣き声がわからなくて、夜は我が子の手を握って寝ていた」という子育てのエピソードにもびっくり仰天、知れば知るほど「聴者の常識は、ろう者の非常識?」です。
特に「情報保障」という概念は目からウロコで、インターホンの音を点滅で知らせる、スマートフォンを介して文字を音にして伝える、最近では状況判断に必要な“雑談”を拾って文字化する機器が出てくるなど、テクノロジーの進歩によって様々な情報が提供されるようになりました。情報保障は、「相手のニーズ」「その場の状況」「情報保障の方法」が合っているか?の3点を考えることが重要とのことでした。緊急時のツイッター利用や、その場ですぐに文字や商品情報などを提示できるスマホは、聴覚障害者にとっては画期的なインフラです。しかし、「昔よりも手に入る情報が増えたが、情報量がかなり多くなって理解するまでに時間がかかり、体力の消耗も激しいという実態を知ることができた」という学生のコメントに見られるように、利用しうる情報や手段が増えたことは諸刃の刃でもあります。また「耳が聞こえない」ことから生じる二次的・三次的な障害や社会的な不利益、例えば「解ったふり」をせざるを得ないと感じ、結果的に人と会うのが億劫になるなどの問題が生じる場合もあります。「障害(障壁)は障害者にあるのではない。障害者との間にある“ことばに頼るコミュニケーションで図ろうとする認識”にある」「“聴こえない”ことそのものが問題なのではなく、それによって生じる不利益やトラブルこそが、今後解決しないといけない問題だと思う」といった学生のコメントからも、山本さんの目指す「ろう者も聴者も」というWin-Winの関係・環境を構築する必要性を強く感じました。実際、私も「歌舞伎の字幕タブレット」は借りて観劇したいと思いましたし、誰もが過ごしやすく、かつ力を発揮しうる社会を実現するうえで、不可欠な問題だと思うからです。
この特別授業は、本学独自の「教育改革支援制度(別名:進一層トライアル)」の助成を得て、多様性(ダイバーシティ)を活かす社会の構築に不可欠な「あらゆる他者を尊重し、受容する良き関係性を築くこと」や、そための「心理的支援(ケア)」とは何か?を、実際の体験に近い形での経験を通して考えることをねらいとして、同じく心理学の大貫先生とペアで実施しています。「普通」だと思っていたことが「当たり前」ではないことに気づき、解らないことや知りたい世界が増えていく。それは学生だけでなく、私たちも同じです。後期の特別授業でも、まだ見ぬ他者の世界を知る楽しさや、様々に異なる人々とともに歩むうえで必要な理解や支援とは何かを追求する面白さを、実感できるようにしていけたらと思っています。
・関連記事
真のダイバーシティ,実現に向けて
| 山本さんの授業風景 |
山本さんは重度の聴覚障害をお持ちの当事者で、現在は右耳のみ補聴器をつけてかろうじて聴き取れる程度の聴力だそうです。普段は大学等で障害を持つ学生や教職員のサポートに携わる仕事をされていますが、今回は「ろう者の常識は、聴者の非常識?」という興味深いタイトルで、2名の手話通訳者の方の言葉を通して授業をして頂きました。ちなみに手話通訳は、英語ニュースの同時通訳のようなスキルと労力を要するため、内容や時間によっては2名以上付くことがあるのです。実は「口話」もできる山本さんですが、手話の重要性に気づいて大学時代にマスターされたそうで、手話のほうがより多くの考えをきちんと伝えることができるため、「授業は手話で」という話になりました。たとえ聴覚障害を持つ方と出会ったことのある学生でも、多くは「耳が聞こえないから補聴器をつけている」など漠然としたイメージがある程度で、同じ「聴覚障害」でもその聞こえ方は人それぞれであること、補聴器をつければ音が聴こえるとは限らないことをはじめ、「ろう者」と「聴覚障害者」の違いなど、初めて知ることばかりだったようです。
“ワークショップ形式”のグループワークでは「ろう者と聴者のすれ違い」や「ろう者の困難」に焦点を当て、ろう者(聴覚障害者)に関して「どんなところで困っていそうか?」「接して、自分はどんなところで困ったか?」といったお題が出されました。山本さんは各グループの見解ひとつひとつ、例えば「演劇を見るときに困るのでは」という意見には「良い質問です!最近は芝居の音声を字幕化するタブレットを貸し出すところも増えています。先日は字幕のタブレットを見て、歌舞伎を楽しみました」、「(ろう者と)ぶつかりそうになった」という経験に対しては「これはどういう意味でしょう?ろう者は聞こえない分、注意して周囲を見回したりすることもあるのですが、どういう状況だったのでしょうか?」など丁寧にコメントをして下さり、広がっていく対話に学生達も身を乗り出して参加していました。「沸騰したお湯やインターホンの音がわからない」「飲食店での注文が難しい」「適切な声や音の大きさが解らない」「補聴器をイヤホンと勘違いされる」といった日常の困りごとから、「災害時の警報に気づけない」「キャッシュカード紛失時の本人確認が電話でできない」「歩道で自転車の呼び鈴に気づけず、ぶつかってしまった」など深刻な出来事に至るまでお話しいただき、「自分が想像する以上に、ろう者の方が感じる困難が多かった」との声が、授業後のレポートでは多数寄せられました。「赤ちゃんの泣き声がわからなくて、夜は我が子の手を握って寝ていた」という子育てのエピソードにもびっくり仰天、知れば知るほど「聴者の常識は、ろう者の非常識?」です。
![]() |
| グループワークの様子 |
特に「情報保障」という概念は目からウロコで、インターホンの音を点滅で知らせる、スマートフォンを介して文字を音にして伝える、最近では状況判断に必要な“雑談”を拾って文字化する機器が出てくるなど、テクノロジーの進歩によって様々な情報が提供されるようになりました。情報保障は、「相手のニーズ」「その場の状況」「情報保障の方法」が合っているか?の3点を考えることが重要とのことでした。緊急時のツイッター利用や、その場ですぐに文字や商品情報などを提示できるスマホは、聴覚障害者にとっては画期的なインフラです。しかし、「昔よりも手に入る情報が増えたが、情報量がかなり多くなって理解するまでに時間がかかり、体力の消耗も激しいという実態を知ることができた」という学生のコメントに見られるように、利用しうる情報や手段が増えたことは諸刃の刃でもあります。また「耳が聞こえない」ことから生じる二次的・三次的な障害や社会的な不利益、例えば「解ったふり」をせざるを得ないと感じ、結果的に人と会うのが億劫になるなどの問題が生じる場合もあります。「障害(障壁)は障害者にあるのではない。障害者との間にある“ことばに頼るコミュニケーションで図ろうとする認識”にある」「“聴こえない”ことそのものが問題なのではなく、それによって生じる不利益やトラブルこそが、今後解決しないといけない問題だと思う」といった学生のコメントからも、山本さんの目指す「ろう者も聴者も」というWin-Winの関係・環境を構築する必要性を強く感じました。実際、私も「歌舞伎の字幕タブレット」は借りて観劇したいと思いましたし、誰もが過ごしやすく、かつ力を発揮しうる社会を実現するうえで、不可欠な問題だと思うからです。
| 山本さんによるグループワークの講評 |
この特別授業は、本学独自の「教育改革支援制度(別名:進一層トライアル)」の助成を得て、多様性(ダイバーシティ)を活かす社会の構築に不可欠な「あらゆる他者を尊重し、受容する良き関係性を築くこと」や、そための「心理的支援(ケア)」とは何か?を、実際の体験に近い形での経験を通して考えることをねらいとして、同じく心理学の大貫先生とペアで実施しています。「普通」だと思っていたことが「当たり前」ではないことに気づき、解らないことや知りたい世界が増えていく。それは学生だけでなく、私たちも同じです。後期の特別授業でも、まだ見ぬ他者の世界を知る楽しさや、様々に異なる人々とともに歩むうえで必要な理解や支援とは何かを追求する面白さを、実感できるようにしていけたらと思っています。
・関連記事
真のダイバーシティ,実現に向けて
登録:
投稿 (Atom)




