2016年2月22日月曜日

【学問のミカタ】 バレンタインデー 様々な愛を分かち合う日

 バレンタインデーの由来を伝える逸話は3世紀のローマに遡る。当時のローマ皇帝は故郷に愛する家族がいると兵士の士気が下がると考え、兵士の結婚を禁じていた。兵士を哀れに思ったキリスト教司祭のヴァレンティヌスは、秘かに彼らに結婚式を授けた。このことを知ったローマ皇帝はヴァレンティヌスにローマ国教である多神教への改宗を迫ったが、ヴァレンティヌスはこれに従わなかったため、投獄され269年2月14日に処刑された。ローマでは、この日は結婚と家庭を司る女神ユノの祝日で、さらに翌日15日から豊穣を祈願するルベルカリア祭が行われていた。ルベルカリア祭は日頃生活を別にする男女の「婚活」の機会でもあり、未婚の男女がくじ引きでパートナーを選び、祭りの間一緒に過ごすという風習があった。その後、それまでの多神教に代わってキリスト教が優勢になると、ローマ教会はルベルカリア祭などの風習をキリスト教の教義に反するとして排除しようとした。他方でローマ教会は庶民の反発を考え、2月14日を殉教者ヴァレンティヌスを祈念する日に定めてルベルカリア祭の存続を認めたとされる。今日のバレンタインデーに信仰心を思い起こす意味合いは無いが、大切な人に恋心や友情、親愛の情や感謝の気持ちなど、様々な愛情を表現する日として世界の諸地域で普及している。

 余談だが、私の今年のバレンタインデーは一足早く1月22日に訪れた。1年次生の必修科目「英語コミュニケーションIb」の最後の授業のその日に、学生たち一人一人から心のこもった手紙をいただいたのである。週2回1年間、ともに学び、語り合い、支え合ってきた仲間からの温かな愛に包まれた最高のバレンタインデーとなった。

                                    田中 景(担当科目:英語コミュニケーション、総合英語セミナー、他)

・参考リンク
【学問のミカタ】ハロウィーンってそもそも何?