日本文学(古典分野)担当の上野麻美です。 皆さん、令和になって初めてのお正月、いかがお過ごしでしたか?
私の子供のころ(昭和ですよ!)は、お正月の遊びといえば、かるた・すごろく・凧あげなど、江戸時代以来の古典的な遊びがまだ人気を誇っていました。令和の子供たちのお正月遊びはどうなのでしょう?家のリビングでAI相手にゲーム、なんていう日がすでに到来しているのかもしれませんね。
さて、私の担当する「総合教育ワークショップ(くずし字いろは入門)」では、毎年、冬休み明けに「投扇興」のワークショップを実施しています。今年も、お正月気分がほんのりと残る1月9日、学内唯一の和室に緋毛氈を敷き、琴の音でも聞こえてきそうな気分の中で、優雅な古典遊戯を体験しました。
投扇興とは、台(枕)に載った的(蝶)をめがけて扇を投げ、的と扇の落ち方で点数が決まる、優雅なゲームです。人々が熱中しすぎるというので、幕府がたびたび禁令を出したほど、江戸時代に大流行した遊びです。明治以降は花街や寄席での遊びとして伝わってきました。近年、この古典遊戯を復活させるべく、いくつかの流派が立ち上げられ、『源氏物語』や『百人一首』などの古典文学にちなんだルールや点数表が整備されました。
「くずし字いろは入門」は基本的な変体仮名の読み書きを練習する授業ですが、その集大成として「変体仮名で書かれた投扇興の点数表(『源氏物語』形式)」が読めるように訓練します。そして、その訓練の成果を試す機会が「投扇興ワークショップ」です。ワークショップには、毎年、投扇興の流派の一つ「都御流(みやこおんりゅう)」の家元、小林粋扇先生をゲスト講師としてお招きし、競技のルールなどをご指導いただいています。今年は受講生32名に加え、関口和代先生とそのゼミ生のゲスト参加もあり、総勢35名で賑やかに開催しました。
新年の晴れやかな良き日、『源氏物語』に思いを馳せながら、皆で過ごした楽しいひとときでございました。皆さんにとっても、よい一年でありますように。
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