2016年10月6日木曜日

リオデジャネイロ五輪を終えて

 「スポーツの科学」、「スポーツ(テニス)」ほか担当の遠藤愛(まな)です。南米大陸初のオリンピック、リオデジャネイロオリンピック、パラリンピックが終わりました。今回のオリンピックは毎日どの競技がいつ放送されるかを確認しながら様々な競技を観戦しました。大会前の7月3日に代々木体育館で開催された日本代表選手団壮行会にも参加し、大学では「現代からオリンピックをみる」を企画し、自分自身にも周囲にも“オリンピックが始まる感”を高めていたこともありますが、久しぶりにオリンピックにどっぷり浸かったように思います。 

代々木第二体育館にて行われたリオデジャネイロオリンピック選手団壮行式の様子

 今回のオリンピックを見て痛感したのは、国がオリンピックでメダルを取ることを目標として掲げて予算を割くこと、国立スポーツ科学センターやナショナルトレーニングセンターなどの施設を整え、研究者とともに科学の力を応用しながらタレントの発掘、選手の強化を行うことがこれほど如実に結果につながるのだということです。予算を割くということ、それは何を意味するのか、具体的に強化とは何をするのでしょうか。強化された経験から考えると、予算は強化合宿、強化遠征、選手サポートに活用し、強化策の一環として選手に経験を積ませることも活用方法の一つです。私の専門であるテニスの場合、強化合宿は自分と代表を争うライバルと共にトレーニングし、オープンな競争心を持ちながら切磋琢磨することができました。初めての強化合宿は小学校高学年でしたが、当時、テニスのトレーニングだけではなく体力テストや体力トレーニングもやりました。私は短距離に自信がありましたが、メンバーの中に一人、とても速い選手がいました。彼女はスタートダッシュが特に速く、負けたくないなという気持ちを強く持ったのを覚えています。それが伊達公子さんでした。海外遠征は、代表選考会を勝ち抜いて選出され、世界中から選手が集まる海外でのトーナメントに派遣されました。私の初めての海外遠征は高校2年生のウインブルドン遠征でしたが、自分の目で世界の広さを見て、目指すべき方向性を得た経験となりました。私はこの海外遠征を通して、世界に挑戦したいという気持ちとともに、そのために技術力の向上は当然ですが、さらに他の誰とも異なるオリジナルな武器を習得すること、長時間の移動、時差に耐えられる体力をつけること、与えられた食事、ホテル、練習環境などどんな状況でも適応できる逞しさと海外の選手とコミュケーションを取るための語学力、コミュケーション力を身につけることを目標として設定しました。1年後に訪れた進路選択の場面でもこの目標を達成できる環境を選びましたが、高校2年での海外遠征がその後のプロ活動の起点となったと確信しています。

 2020年は東京にオリンピックを迎えることになります。国内では競技場の問題、世界的にはドーピング問題、放映権の高騰など課題が山積し、今日のオリンピックはスポーツという枠を越えています。オリンピック、パラリンピックの主役は選手であることを今一度思い出し、2度目のオリンピックを迎える東京でこれからのオリンピックのあり方を示せるような大会になることを願っています。

※この原稿は学生相談室報告書(第37号)に掲載されるものです。

関連ブログ記事
 ・オリンピアン研修会 オリンピアンとして何ができるか
 ・【学問のミカタ】 学問としてのスポーツって??
 ・国立スポーツ科学センターを見学しました