さて、「春休み」期間に教員は何をしているのでしょうか?
もちろん授業期間外にも会議や様々な大学の校務があります、が、やはりこの時期にはまとまって研究の時間をとろうとする人が多いのではないかと推測します(きっと)。
我々のような野外調査を伴う研究分野の者にとっては貴重な時期、ということでいろいろ出張を組んだりします。今回は高知県西の端、沖の島という離島に渡った話を紹介させていただきます。
高知県の西の端に近い宿毛港から日に二便の連絡船で1時間半ほどかかります。小笠原のような離島を除くと高知県西部は東京から最も「時間距離」の大きい場所の一つと言われます。
早朝宿毛を発ちます。同行者含め雨男が集まっているのか、あいにくの荒天で船は激揺れです。島に着いたが荒れ模様。でも時間がないので近くの海岸を調査します。
海岸を調査。落ちたら死ぬで状態でビビりながら。 |
やっと低気圧が去り午後からは島の反対側に向かいます。足がありませんが幸い宿の主人が調査ポイントの近くまでクルマで運んで下さいました。
磯釣りの人の道を辿って海岸へ。立派な崖を調査。 節理(冷却の際にできる岩石の割れ目)が明瞭です。 |
島の大部分は花崗岩(いわゆる御影石)、すなわちマグマが地下深くで冷え固まったものです。現在の四国にはマグマ活動は一切なく、約1500万年前のものです。ちょうど日本海が出来た直後の活動であり、そのころの地史を詳しく知るために調査しています。
周囲17 km、人口200人あまり(Wikipedia)の島にも歴史があります。
島を周回する道路脇に謎の「国境」がありました。これは昔から土佐、伊予での領土争いがあり、江戸期に入ってからの係争時に土佐藩奉行の野中兼山が奔走して決着を付けて島を二分する国境が定められた跡とのことです。(宿毛市史)
道路脇の「土予国境」 |
また島の一番大きな集落に近くの岩盤に大きな直方体の洞窟が穿たれていました。これはやはり戦時中に作られたものということで、「回天」の基地に、というもくろみがあったという話を聞きました(真偽は確認していません。念のため)。
岩盤を穿った大きな穴。石はかなり固いので、掘るのは 相当大変だったと思われます。 |
日本は広くて景観上も歴史上も面白い場所がたくさんあります。関東出身の学生さんの中には四国、九州など訪れたことがないという人が意外といます。是非いろんなところに出かけてみて欲しいと思います。ディスカバー・ジャパン(古いか?)
帰りの連絡船。風強く欠航の予想もありました。 もしそうなら翌日の会議はぶっちぎりになった。 |
翌朝は晴れていましたが、冬型の気圧配置のため北風強く、海は荒れていました。でも帰りの船から見える岩場には大勢の釣り客が。
磯釣りの人々は凄い。 |
宿毛からはのんびり汽車で高知に戻ります。
JR四国や九州の列車はカラフルですね。 |