2019年1月7日月曜日

TKUサイエンスカフェ「宇宙における錬金術~鉄を金に変える方法」

 「生命の科学」ほか担当の大久保奈弥です。12月18日(火)に開かれたTKUサイエンスカフェの報告です。今回のサイエンスカフェは「宇宙における錬金術~鉄を金に変える方法」と題して、国立天文台天文データセンター研究員の本間英智さんがお話ししてくださいました。専門は銀河考古学(!)という、私も初めて聞いた名前で、最先端の研究だそうです。


 銀河考古学とはどんな学問なのでしょうか?いわゆる天文学の研究対象は、大雑把には、宇宙論、銀河、星の3つがあります。銀河を研究対象とする場合、銀河がどう生まれたかを研究する深宇宙銀河研究、また、銀河がどう育ってきたかを扱う近傍銀河研究という分野があります。銀河考古学は、近傍銀河研究の中の一つに位置付けられ、銀河をつくっている星1個1個が見えるくらいの近さの銀河がどう育ってきたかを研究しているとのことでした。もう専門的すぎてよくわかりませんが、それが研究というものですね…。

 そもそも、星が光っているというのは、核融合反応が起きている状態だということをご存知だったでしょうか?そのような反応が起きるためには、銀河の中にいる星の中心というのは高温で元素が高密度でなければいけないそうです。そして、その中では、鉄が金に変わるという現象が起こっているのではないかと考えられているとのこと。鉄の陽子数は26で、金が79なので、星の中でさまざまな核反応が起こり、陽子数が増えて、鉄が金になる。まさに自然の錬金術ですね。

 他にも色々なお話しをしてくださったのですが、特に印象に残ったのは、講師の方の次の言葉です。

「鉛、バリウム、ストロンチウムなんていう色気がない元素」

 これはもう専門家ならではの言葉ですね。例えば、サンゴを研究する私が「この触手可愛い」と言うのと同じでしょう。。
 
 質疑応答の時の議論の中で出てきたことも印象に残っています。「人間が住む地球は奇跡の星。なぜなら、太陽から遠いと寒すぎるし、近いと暑すぎてお水があっても蒸発してしまう」。

 水が豊かで、生き物がこんなにたくさんいて、地球に生きていること自体が奇跡なんです。私たちはそれを認識しながら生きていきたいと思います。本間さん、楽しいお話をありがとうございました!

参考)今年度と昨年度のTKUサイエンスカフェの報告
 2018年度第1回「静電気と放電
 2017年度第2回「時間とはなんだろう
 2017年度第1回「映像世界と身体感覚