2016年9月5日月曜日

夏、学会に参加する


 みなさん、こんにちは。日本語科目を主に担当している久川伸子です。専門は日本語教育で、留学生に日本語を教えることが出発点でしたが、最近では、「大学生の学び」についても研究しています。

 大学教員は、授業のない夏休み期間中も、自分の研究に取り組んでいます。また、多くの学会がこの期間に研究大会を開催しているのですが、そこに参加することは、自分の研究にとって大いに刺激となります。私は、8月26日27日に大阪で開かれた「留学生教育学会」の第21回年次大会に参加してきました。

 留学生教育学会は、「留学生に対する教育あるいは指導・支援に携わるすべての国内外の留学生関係者に開かれた学会です。」「国立大学・公立大学・私立大学・専門学校・日本語学校等において、留学生に関わるすべての教育機関と手を携え、かつ在野で留学生のためにご尽力しておられる方たちのご意見も頂きながら、より良い留学生環境を総合的に形成していこうということを理念としています。」http://www.jaise.org/index.html

 今年のテーマは、「留学生獲得とキャリア戦略--地域で取り組む留学生教育」でした。初日のシンポジウムでは、国や地方自治体、経済界の方々からのお話を伺い、留学生を取り巻く現状を改めて認識しました。少しだけ紹介しますと、例えば、平成25年度中に大学等の高等教育機関を卒業(修了)した学生のうち、日本で就職したのは23.7%だそうです。この数字を見てどう思いましたか。意外に少ないと思いませんか。留学生の採用を希望する企業は確実に増加していて、「社内の活性化や意識醸成への期待が高い」との調査結果がある一方で、「高い日本語能力を求めている」という報告もありました。
 
 2日目は、「教育研究事例報告」と「学会企画ワークショップ」がありました。学会では、同時にいくつもの発表がおこなわれるため、プログラムと予稿集の原稿を参考にしながら、聴きたい発表を決めていきます。特に重要な知見を得た発表があれば、空き時間に報告者に声をかけて、感想を述べ、できれば名刺を交換します。これがきっかけとなり、後日、共同研究につながるということもあります。

 

 今回私が注目した発表は、「留学生と一般学生が一緒に学び合う」複数の事例でした。かつては「留学生=支援される人」という構図で語られる事例が多かったのですが、最近では、「留学生と一般学生、双方に学びが産出される」という報告が増えてきました。本学で私が担当している「総合教育ワークショップ」という授業でも、ゼミでも、留学生と一般学生、双方に学びが生まれています。

 東京経済大学では、学部や大学院の正規留学生の他にも、3週間、半年、1年、と様々な形で留学生を受け入れています。ゼミや少人数授業で言葉を交わし、学内の国際交流に参加して、新しい体験から、共に学んでみませんか。

・参考リンク
東京経済大学 国際交流のページ