正門にて |
自然の構造と科学論担当の榎です。 10月19日(土)に、国立天文台三鷹キャンパスの特別公開「三鷹・星の宇宙の日2013」の見学に、総合教育演習の天文ゼミの学生さんたちと行ってきました。
国立天文台三鷹キャンパスは、「常時公開」されており、一部施設の見学ができます。また、月に2回、望遠鏡で天体を見る「定例観望会」が開かれています。 これとは別に、年に一回、特別公開があります。この時には、通常は見学できない施設も公開され、研究部署ごとの研究展示や、講演会、天体観望会などが行われます。ここでは、今回の見学で巡った施設のうち、通常は見学できない施設をいくつか紹介します。
TAMA300のレーザービームを 通す全長300mのトンネル |
まず、注目すべき施設は、基線長300mの干渉計型重力波アンテナ「TAMA300」でしょう。これは、アインシュタインの一般相対論が予言する、時空のゆがみが波として伝わる重力波の検出を目指す装置です。地下にあるレーザービームを通すパイプが通る300mの長さのトンネルは壮観です。
「先端技術センター」も見逃せません。ここは、天文観測装置の技術開発・作製を行う工場です。世界中の他の誰もやっていないことをやるのが最先端の研究です。他の誰もやったことがないので、目的にあった道具(観測・実験装置、計算機や解析ソフトなど)があるとは限りません。そのため、自分たちで道具を開発する必要があります。多くの研究所や大学の理系学部にはこのような工場が設置されています。
通常は立ち入ることができないキャンパスの奥地には、「太陽フレア望遠鏡」があります。太陽のコロナの中で起こる大爆発である、太陽フレアを観測する望遠鏡です。4つの望遠鏡が束になっており、4種類の観測が同時並行でできることが特徴です。
4つの望遠鏡が束になっている太陽フレア望遠鏡。 フレア博士が解説をしてくれました。 |
星団や銀河の進化などの問題を扱う、 重力多体問題専用計算機GRAPE |
シミュレーション天文学を推進する「天文シミュレーションプロジェクト」の計算機群も注目です。特別公開日の時は、計算機室の中に入って、日本の天文学者が開発した重力多体問題専用の特別な計算機「GRAPE」を間近で見ることができます。学生さんたちは、その計算機が出す熱風に驚いていました。シミュレーション用の計算機の管理は、熱との戦いになります。
天文データセンターが特別公開日に毎年行う「銀河探しゲーム」は、リピーターも多い人気ゲームです。これは、宇宙の地図を作るプロジェクト「SDSS」で撮影した星空の画像をパネルに並べ、その中から指定された銀河を見つけ出すというゲームです。「ウォーリーをさがせ!」の星空版と思ってもらったらよいでしょう。初級、中級、上級、超人級と難易別に分かれています。今年見学に来た学生さんたちは、結構あっさりと上級までクリアしていました。
銀河探しゲームに挑戦中。 星空のパネルをじっくり眺めて、目的の銀河を探します |
ここで、紹介したものの他にも、さまざまなものを見学したり体験できたりします。常時公開でも十分楽しめます。みなさんも、是非一度、国立天文台に見学に行ってみませんか?