2014年7月1日火曜日

「岩波ジュニア新書」で読む世界史のススメ

 外国史担当の高津です。

嬉しいことに貸出中の本、続出。
貸し出し中の本は、MyLibraryから
予約をかけられます。
6月13日より、図書館展示「岩波ジュニア新書の世界」が行われています。私もちょくちょく様子を見に、図書館1階の展示スペースを訪れているのですが、たくさんの本が「貸出し中」になっています。多くの学生の皆さんに関心をもっていただいたようで、とても嬉しいです・・・が、私の妄想であれば良いのですが、相澤先生や新正先生の推薦の図書に比べて、私が推薦した歴史の本が、まだまだ棚に残っているではないか・・・というわけで、ここに「「岩波ジュニア新書」で読む世界史のススメ」を投稿します。

私が特にお薦めする本は、川北稔『砂糖の世界史』と遅塚忠躬『フランス革命』です。どちらも歴史、のみならず学問を学ぶことの醍醐味を味わわせてくれる本です。まず『砂糖の世界史』から参りましょう。砂糖という日常的な、ささやかな幸せをもたらしてくれる甘い粉には、ヨーロッパとアフリカとアメリカを包み込む、広大な宇宙の広がりと、500年に及ぶ栄光と悲惨の時間が凝縮されています。スプーン一杯の砂糖の小ささと、地球の広大さ―、このあまりのギャップに頭がクラクラっとしてしまいます。『砂糖の世界史』はこの眩暈の快感を感じることのできる書物です。

次いで『フランス革命』。しばらく前に「アハ体験」という言葉が流行しました。「アハ体験」は、難しい問題を散々考え、悩んだ後、ふっと何かが閃き、「分かった!」ときの喜びを意味します。ところで、歴史学において「フランス革命とは何か」という問題ほど、難解で、それゆえ心をそそる問題はありません。そしてこの本は、この問題に一つの明快な解答を提示しています。「アハ体験」を体験できます。是非ご自身で体験して下さい。

気になった方、
目印は1階ブックウォールCです!
一つの問題の背後に宇宙的な広がりを発見したとき、複雑難解に見えた問題を説明する原理や原則を発見したとき、私たちは喜びを得ます。『砂糖の世界史』と『フランス革命』はそうした喜びを与えてくれる本です。できれば全ての小中学生、そして大学生にこの本を読ませたい。そうすればきっとみな歴史学者になりたくなるでしょう。

もう一つ、この2冊の本の素晴らしい点について述べましょう。本の作者の2人の先生は、若い世代の皆さんを愛しています。文章の端々に、愛情が溢れています。特に遅塚先生―惜しくも数年前に亡くなってしまいました―の皆さんへの熱いメッセージは、涙なしには読めません。
以上、「「岩波ジュニア新書」で読む世界史のススメ」でした。是非皆さんも手に取ってみて下さい。