2020年6月11日木曜日

Learning Never Stops:英語遠隔授業レポ―ト

 「英語」「言語学」を担当する小田登志子です。東京経済大学では、2020年度前期は遠隔授業を行っています。今回は、遠隔授業による英語科目の様子をご紹介します。

 大学が使用するプラットフォームであるmanabaに加えて、英語の先生方が使用しているのはZoomというビデオ会議システムです。ローテクな私にとって、Zoomは未知の世界でした。しかし、英語の先生方の中には、もともとテクノロジーに強い方が多く、コロナウイルス感染が拡大した2020年3月にはOnline Teaching Japanという東京地域の英語教員によるフェイスブックのグループが立ち上がりました。私はそういった人たちに教えてもらないながらZoomによる授業の準備行いました。また、東経大の先生の中でZoomが上手な先生が先生役になって練習会を行いました。



ビデオ会議システムを利用した英語の授業

 さて、実際にZoomによる英語の授業が始まると、学生たちの顔が次々と画面に現れました。よかった!みんな元気そうです!画面に映る学生の様子はいろいろです。ハミガキしながら登場する人もいれば、「寝坊してまだパジャマだから」と、映像を切って音声だけで登場する人もいます。家の雑音が入らないように、ベランダにスマホを持ち出す学生もいるので、チュンチュンとスズメの鳴き声が聞こえたりします。また、「バーチャル背景」を使って、ハワイの風景をバックにさっそうと登場する人もいます。

 普段の教室のようにはうまくいかないこともありますが、Zoomのおかげで大きな声で発声練習ができるのはとてもありがたいことです。thの発音を教える時は、自分の口をアップにして写して「舌が見える?」と言うと、学生が真似をしだします。(あまり見栄えのいい映像ではありませんが・・・。)また、Zoomの「ブレイクアウトルーム」機能を使うと、自動的にペアができるので、学生はクラスのいろいろな人とペアワークをすることができます。普段の教室では、学生は仲良しの人とペアを組みたがりますが、Zoomではそうはいきませんよ!

 英語の先生方の様子もご紹介しましょう。英語の先生方は、いつもは「教員室」でおしゃべりしながら情報交換をするのですが、今はそれができません。代わりにコンピューターが得意な先生がSlackで「バーチャル教員室」を立ち上げてくれました。困りごとを書き込むと、たいてい誰かがすぐに答えてくれます。

ネット上の「バーチャル教員室」

 英語の先生方は、対面授業がかなわないもどかしさを抱えつつ、互いに知恵を出し合い、今ある環境を最大限利用して遠隔授業を行っています。寄せられた声の一部をご紹介します。

<英語担当の先生方のコメント>
・1年生を担当しているので、Zoomの間だけでもクラスメイトとコミュニケーションをとれることに喜びを感じてくれる学生が多いです。
・I think there is no substitute for face to face, real interaction. However, if students are prepared to use their cameras and their mics, communicative activities are possible, especially in the breakout rooms. (対面の授業に替えられるものはありませんが、カメラとマイクがあればコミュニカティブな活動は可能です。特にブレイクアウトルームを使うと。)
・クラスの学生を、前半にZoomで会話練習を行うグループと、後半にZoomを行うグループに分けています。
・学生が英作文を投稿すると、全員の投稿が全員に見えて、それに対する返信も全員が見ることができます。
・「掲示板」などで質問がしやすいせいか、普段以上に英文法の質問がたくさん寄せられるようになりました。
・Some students say they can save commuting time and study more using the time.(通学時間がないので、その時間を使ってもっと学習できると言う学生もいます。)
・遠方の学生が遅刻することがないので、普段よりも出席率がいいです。
・私のクラスでは、Zoomができる環境が整わない学生さんがいたので、かわりに「掲示板」を使ってコミュニケーションをしています。私が出した英語の質問に対して「瞬時に」答えてもらいます。するとみんなの回答が一斉に現れます。まるでカルタ取りのようで、なかなか楽しいです。

 最後に、コンピューターを用いた授業の利点の一つについて言及します。東経大の他のブログでも紹介されているように、コンピューターを用いて授業を行うと、海外の人とつながりやすくなります。今は海外に出ることが全くかないませんが、その代わり世界中の人がコンピューターの前に座っているので、ある意味では、今が一番つながりやすい時期であると言えます。私の英語の授業にも、ニュージーランドにいる人がZoomで登場してくれました。東京との時差は3時間です。

 このような工夫を重ねながら、私たち英語教員は学生の皆さんが英語学習への意欲をキープしてくれることを願っています。Learning Never Stops!

<関連サイト>
「大学教育とオンライン化」TKU Business Weekly Blog
Online Teaching Japan, Facebook