2014年11月12日水曜日

手話に触れる 「世界の言語と文化」より

フランス語担当の相澤伸依です。2期は、本学の語学担当者によるリレー講義「世界の言語と文化」の取りまとめ役として、各回を聴講しています。今日はその中から、「日本手話」の回をご紹介したいと思います。

本学では、2006年度より、語学科目として「手話」を提供しています。現在は初級と中級を開講し、50名あまりの学生が学んでいます。今回の授業では、中級ご担当で日本手話のネイティブ話者である谷口由美先生に、手話とはどのような言語なのかを講義いただきました。講義は、谷口先生が日本手話で話された内容を、初級ご担当の岡典栄先生と手話通訳士の瀧澤亜紀さんに日本語に訳していただく形で実施しました。

授業の冒頭、谷口先生は聴導犬と一緒に教壇に上がられ、学生に「手話はろう者のものでしょうか?」と問いかけられました。答えは、授業を通して明らかになっていきます。

授業される谷口先生。
授業中、聴導犬は教壇の下に座っていました。

まず、手話とは「手で表すことばで、目で見ることば」だと説明されました。視覚言語である手話に似たものとして身振りやベビーサインが紹介され、チンパンジーや犬のような動物や言葉を話せない赤ちゃんも、手と目を使ってコミュニケーションできることが映像で示されました。

聴こえる人が多い場所では、手話はマイノリティの言語になります。しかし、世界にはろう者だけでなく、ろう者と聴こえる人が手話でコミュニケーションを取るのが日常の場所があることも紹介されました。

「来」の動き。一本指立てた手を
前から後ろに引きます。
手話がどういうものか説明したところで、谷口先生は、実際に手を動かしてみようと呼びかけられました。「木」も「気」も「機」も音声では「き」ですが、日本手話ではそれぞれ違った仕方で表現されるのです。木は樹木が枝を広げるところをイメージさせる動き、気は心臓のあたりを示す動き、機は噛み合う歯車をイメージさせる動きでした。学生達も自ら手を動かし、目で見た様子が、目で見ることばになることを体感できたようです。

フロアからは質問も出ていました。

ただし、「何が見えるか」は人々の習慣や文化に大きく依存します。例えば、「食べる」は、日本手話では箸で食べる姿をイメージさせる動きで表しますが、アメリカ手話ではハンバーガーをほおばるような動きで表すとのこと(谷口先生はアメリカ手話も話されるそうです)。ここから、手話は世界共通ではなく、世界各地で生きる人々が、それぞれの暮らしの中で紡ぎだす言語であることがわかりました。

最後に「手話はろう者のもの?」という問いかけに対して、学生は「目が見える人々、動物すべてのもの」と答えました。それが谷口先生の講義で何よりも学んだことです。

今回の授業は、普段あまり接する機会のない手話という言語を知る、貴重な場となりました。来年度も「日本手話」初級、中級を開講しますので、興味を持った方はぜひ履修をご検討ください。

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