10月16日金曜日に、菊地建至先生をお招きして読書会が行われました。今回のお題本は、J.S.ミルの『自由論』でした。
古典でありながら、現代においても全く色あせることのないまさに名作です。
実は古典の名作って、読書会のテーマ本として考えた時に、新しい解釈の展開の余地があまり残っていない気がして、避けられがちなのですが、そこはやはり百戦錬磨の菊地先生、見事な盛り上がりでした。
ブラウジングスペースが一杯 |
今回は、図書館のブラウジングスペースを使い、菊地先生の周囲を取り囲むようにしての読書会となりました。最初は菊地先生から、ミルの自由論についての簡単な解説や、先生の気になった部分などが紹介され、そのあとで、参加者から本当に思い思いの質問や感想が出されました。中には、自由論の枠組みでとらえきれないような質問もあったようには思うのですが、そうした発言は一つ一つ菊地先生によって、料理され、見事な「自由論」仕立ての一皿となっていました。
議論中 |
読書会初参加の方も相当数いたのですが、菊地先生が作り出された流れに乗って、いつの間にか積極的に読書会に参加できていたのは、本当に驚きでした。
参加者の質問のなかで最も面白かったのは、「ミルはなぜ自由論という1冊の本の中で矛盾した発言をしているのか」というものでした。
その点についての議論は、「ミルは確かに矛盾した発言をしているが、それはこの本の執筆された時代背景の中では、やむを得ないものである」という結論になったのですが、古典の名作である『自由論』について、そうした時代背景的な限界が存在しているのは、指摘されるまで想像していなかった参加者がほとんどだったのではないでしょうか。個人的にも、ここは一番の収穫でした。
菊地先生が作り出した「自由論」の世界も、やがては閉幕の時間を迎えます。
とはいえ、その時間があまりにも心地よかったため、読書会の時間が終わっても、ほとんどの参加者が名残惜しく、菊地先生の周りには長く人垣が絶えませんでした。
皆さんも、こんな自由な読書会に参加してみませんか?お問い合わせは図書館カウンターまで。