2015年2月5日木曜日

TKUサイエンスツアー 2014年度第2弾

「地球の科学」ほか担当の新正です。

2014年度2回目のサイエンスツアーとして、2月4日に茨城県東海村の日本原子力研究開発機構の原子力科学研究所の見学を行ってきました。

朝早くに丸の内に集合して、常磐道を一路北上、11時頃に研究所に到着しました。核施設ということでセキュリティチェックを受けた後、東京大学原子力専攻・共同利用管理本部で事前レクチャーを受け、関連した質疑応答がなされました。


構内の食堂で昼食後、広大な敷地の中をバスで移動します。

まず日本で最初の原子炉であるJRR-1記念館を見学しました。ここでは原子力科学研究所の概要についてレクチャーを受けたのち、外形が保存されているJRR-1および、研究原子炉の歴史についての展示を見ました。


JRR-1記念館前で集合

再びバス移動して、本日のメインの一つ、先端的な研究用原子炉JRR-3の見学に移ります。東北太平洋沖地震以降運転は停止していますが、機器のメンテナンスなどは行われています。2班に分けて、炉室(原子炉建屋内部)と中性子ビームホールを順に見学しました。炉室は、厳しいセキュリティチェックを越えた、厳重な2重扉の向こうにあります。後者は、放射性物質が外に出ることを防ぐために建屋内が陰圧になっているため、抜けるのに少し時間を要します。原子炉に直付けされた、様々な機器を見て回ります。

ビームホールは炉室の外の別の建物で、5本のビームラインに多数の機器が取り付けられています。ここでもそれらの意義を説明するビデオを見て理解を深めました。

次はJ-PARCです。原子炉付近は写真撮影禁止でしたが、こちらは写真撮影可。要は核燃料を使う施設ではないので、規制される法律が異なるとのこと。

J-PARCでは物質・生命科学実験施設で施設の概要、加速された陽子からどのように中性子が生成するか?などの説明を受けたあと、中性子ビームラインに繋がった多数の機器を見学しました。施設が新しく綺麗でしたね。それぞれの機器の所属(たとえば大学が持っているもの、地元茨城県が持っているものなどがあった)や目的について説明を聞きました。

さらにニュートリノモニター棟に移り、地下の大きな筒状のコンクリートの躯体にはめ込まれたニュートリノ検出器を見ました。さらに、T2K実験(東海のJ-PARCで生成したニュートリノを神岡鉱山跡、岐阜県のスーパーカミオカンデに向かって撃って観測することで、ニュートリノ振動を実証する)の意義についてビデオを交えて解説を受けました。

巨大機器に圧倒されつつ、バスで共同利用管理本部にもどり、総括の質疑応答を行いました。やはり放射線の安全性や、核セキュリティーに関する議論が出ました。

原子力、というと一般には発電しか思い浮かばないかもしれませんが、中性子科学を中心とした、基礎・応用の広いフィールドが存在することの一端を垣間見ることのできるツアーであったかと思いました。

若干予定時刻を過ぎつつも、一路バスで東京へ向かい、丸の内で散会して、今年度のTKUサイエンスシリーズの全行事を終了しました。

今回の見学をコーディネートしてくださった、東京大学大学院工学系研究科原子力専攻・共同利用管理本部の皆様、ご案内・解説等対応いただいた原子力機構の方々に厚く御礼申し上げます。


参考 TKUサイエンスツアー 2014年度第1弾