2017年2月20日月曜日

【学問のミカタ】英語学習のルール?

英語科目担当の中川知佳子です。
突然ですが、みなさんは英語を学習するときに、
どのような勉強方法を選んできましたか?
例えば、英単語はどう覚えてきましたか?

私が担当している総合教育演習(いわゆるゼミ)では
「英語学習を科学する」をテーマに、何となく選んでいる学習方法について、
「それは本当に効果的なのか」という疑問を持って研究しています。

さて、今回は「ルール」というテーマです。

英語のルールといえば何が思い浮かぶでしょうか。
真っ先に「文法」を思い浮かべる人がいれば、
必修英語科目の単位を取得しなければ卒業できない
・・・という大学の「ルール」を思い浮かべる人もいるでしょう。

第二言語習得という研究分野では
「規則/ルール」がつく専門用語はほとんどありません。
あるとしたら「文法」を指す場合でしょう。

研究においては、既に多くの人が同意するような説であっても、
「仮説(hypothesis)」のままであり、
数々の研究によって、常識だと思われていたことが覆ることもあります。

このようなケースに「日本人」が大きく関係している事例を紹介します。

「文法形態素の習得には自然な順序があり、それは普遍的である」という
自然習得順序仮説(クラッシェンという研究者が1977年に提唱)があります。
自然な習得順序は、次の通り。


習得の順番

文法形態素


進行形の-ing、複数形の-s、連結詞のbe


助動詞のbe、冠詞the/a


不規則動詞の過去形


規則動詞の過去 -ed、三人称単数現在の-s、所有の-'s

この仮説を知ると、
確かに、英語の3人称単数現在の-sを身に付ける(使いこなす)のは
難しいよね・・・と思えます。

けれど、日本人の場合、


という直感が働きます。

実際に、日本人英語学習者の習得順序を調べた研究では、
「自然な習得順序」と一致していませんでした。
日本人のデータから「普遍的である」という仮説は覆せそうです。

研究成果や時代のニーズによって、
「効果的な指導法(学習法)」と言われるものも、変化しています。

言語学習では「先生が言ったことが絶対!」ではありません。
教師も、自分が教わった方法や、体験した方法を教えがちです。
好みは人それぞれ。効果的な方法も人それぞれ。
「自分にとって効果的な学習方法は何か」を考えることが大切ですね。

ルールを守ることは大切ですが、
「常識」だと言われるものを疑うこと、確かめることも必要
・・・という話でした。

【学問のミカタ】2月のテーマ「ルール」
・経済学部ブログ「経済学とルールの関係性
・経営学部ブログ「実際の特長を広告で表現できない?!
・コミュニケーション学部ブログ「ルールブックにない"ルール"
・現代法学部ブログ「法も「ルール」~そんな「法」の学び方をお教えしましょう~