2018年9月13日木曜日

【学問のミカタ】教員の「夏休み」

 フランス語と倫理学担当の相澤伸依です。大学の先生は夏休みをどう過ごしているのでしょう?決して遊んでいるわけではなく、基本的には研究を進め、時には世界各地で行われる学会で研究発表をします。今回は、私がこの夏に参加した学会の様子をご紹介したいと思います。

 8/9〜12にカナダのバンクーバーで国際女性史学会が開催されました。私はここで共同研究者たちと1970年代の日本の女性運動に関するパネルを企画し、発表しました。

  
私の専門は現代フランス思想ですが、最近は日本とフランスにおける女性運動の比較研究も行っています。特に、日本のバースコントロール(産む子どもの数を調整すること、具体的には避妊や人工妊娠中絶を指す)をめぐる実践は独特です。私が注目しているのは、日本の女性たちが経口避妊薬(ピル)の使用を肯定的に受け止めなかったという事実です。そこで、発表ではこのような態度がどのような思想に基づくのかを分析しました。

 私たちのパネルはフランス語で行ったためか、聴講者が少なかったのは残念でしたが、聴いてくださった方々からは有意義な質問をいただけました。学会の一番の山場は発表それ自体以上に質疑応答にあります。やりとりを通して、発表する側も聴く側もテーマへの考察を深め、次の研究へと繋げるのです。
海辺ののんびり感と都会が
隣り合わせの街並み。

 さて、無事に学会発表が終わった後は、しばし街の散策を楽しみました。私の一番の専門は現代フランス思想なので、ヨーロッパにはよく出かけるものの、北米はほとんど馴染みがありませんでした。世界で最も住みやすい街の一つと言われるバンクーバー。東京はもちろん、ヨーロッパの都市との違いを観察しながら歩きました。世界の都市を発見できるのも国際学会に参加する醍醐味です。

学会場の大学もダウンタウン
にありました。

 夏休み中、教員は遊んでいるわけではない!ということがお分りいただけたでしょうか?夏休み明けの授業では、研究の成果を少しでも学生のみなさんに伝えられればと思います。







9月の【学問のミカタ】
・経済学部「η>δ:習慣は目先にまさる
・経営学部「甘酒ブームの加速を阻むもの・・・
・現代法学部「『なので』のなやみ