2018年6月26日火曜日

トルクメニスタン探訪

「地球の科学」ほか担当の新正です。

先日テレビの撮影クルーに同行してトルクメニスタンを訪問する機会がありましたので、その様子を少し記させていただきます。

随所に大統領の肖像が掲げられている
トルクメニスタンは中央アジア、カスピ海の東側に広がる内陸国で日本の1.3倍ほどの国土面積を持ちますが、その85%ほどがカラクム砂漠で占められます。1991年に旧ソ連から独立して共和制国家となりましたが、大統領権限が強く、現在は2007年から2代目のベルディムハメドフ大統領が長期政権を築いています。

もちろん日本から直行便はないので、乗り継ぎの経路で渡航する必要があります。今回は、時間を節約するために金曜夕方授業を終えて羽田へそこから北京に行って、夜間に乗り継いで首都アシガバートへ朝に着く便を利用しました。北京からのトルクメニスタン航空便はトルクメニスタン人の爆買い路線になっていて、チェックインの際に、大きな段ボールなどの荷物をいくつも抱えた人びとに取り囲まれる状況で若干往生しました。

首都にはおしゃれなカフェレストランも
到着した空港でアライバルビザを取得します。あらかじめ入手した招待状を出して、米ドルで100ドル余りの手数料を払って手続きをします。出発前この部分が大変不安でしたが、余り待ちも無くスムーズに発給され、軍人風の制服の入国審査の人も無表情でチェックしながらも、最後にwelcomeと一言言って通してくれて心底ホッとしました。

トルクメニスタンの首都アシガバートは大理石を用いた白亜の建築にあふれなかなか不思議な趣を見せます。ただし、災害とは無縁ではなく都市の南方を走る断層による1948年の大地震では死者行方不明者約11万人と推定される壊滅的な被害を受けています。

テント泊の朝食を「何かあるかな?」
的な雰囲気でのぞきに来るも現地
ガイドに追い払われるラクダ達
ホテルで先発の撮影クルーの人びとと合流して、後は国内の様々な自然景観地を1週間あまり巡って観察を行い戻って来ました。詳細については、末尾に記した番組をご覧下さい。

基本的には、極めて豊富に胚胎する天然ガス、石油の輸出が経済を支えており、また灌漑農業や牧畜業などが行われているが、その他にあまり目立った産業が無いように見受けられました。シルクロードの国だけあり、沙漠地域のなかでも牛・馬・羊・山羊・駱駝など放牧されているのはそこここで見受けられます。

旧ソ連製の四駆で現地に運ばれる
また訪れた自然景観地はいずれも不便なところにあり、ガイドはいても観光地としては十分に開発されておらず、比較的著名な景観地ですらすべてテント泊でしか見に行くことができません。たとえば、日本で最も紹介されている自然景観地はダルヴァザの「地獄の門」だと思われますが、主要道から何キロも四輪駆動車で入る必要があり、現地に夜間滞在する人用に複数のテントサイトと、モンゴルのゲル風の小屋が準備されているのみでした。それにもかかわらず、日本人を含め観光者が少数とはいえ来られていたのにはちょっと驚きました。



誰も蛸など見たことも食ったことも
無いのになぜか蛸さんウィンナーが
トルクメニスタン、カザフスタン、アルメニアの3国の自然景観の取材に基づく番組が先日NHK BSプレミアムで放映されました。7月14日に再放送がありますので、お時間がありましたら是非ご覧いただけると幸いです。

体感!グレートネイチャー「シルクロード・灼熱炎と幻の海」