2015年11月16日月曜日

TKUサイエンスカフェ「豚インフルエンザについて」

 皆さん、こんにちは。生物学の大久保奈弥です。この度、11月10日(火)に、学習センターでサイエンス・カフェを行いました。今回の講師は、私の大学院時代の後輩で、国立開発研究法人 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所の主任研究員をしている竹前喜洋博士です。

 学生時代から超優秀だった彼は、現在、鳥インフルエンザウイルスの豚への適応機序についての研究、豚インフルエンザウイルスの抗原性解析、ベトナムにおける豚インフルエンザウイルスのサーベイランスに従事しています(言葉が難しいですね)。ま、要するに、豚インフルエンザがどういう環境で発生するのか、豚インフルエンザウイルスは豚にどういった影響を起こすのか、といったことを研究しているということです。

 7年ぶりに会ったら大分貫禄が出ていて驚きましたが、それもそのはず、年に4分の1以上はタイやベトナムに出張してバリバリ働いているとのこと。研究の最前線で活躍しているのです。さすがですね。

 カフェでは、豚インフルエンザウイルスにかかった豚さんが、はくしょん、と可愛いくしゃみをしている動画も見せてくれました。他にも、タイで新しく日本と共同で研究室を立ち上げるのに携われたこと、豚インフルエンザウイルスが北米で人間にも感染したこと、どういう農場が豚インフルエンザにかかりやすいか、など、すごく面白いお話をして頂きました。

 昔から豚インフルエンザウイルスが人間にかかることが知られていて、今のところはそれほど怖がることはないようです(あくまでも、今のところね)。ただ、驚いたのは、豚インフルエンザウイルスにかかると豚は、成長率が低下して、出荷が遅れてしまうので、経済被害があるということです。また、生物学の立場から面白かったのは、インフルエンザウイルスが豚と人に感染すると、人に感染したときの方が遺伝子の突然変異するスピードが速いということです。簡単に言えば、豚の場合、農場の中での寿命が人間に比べてずっと短いことが関係しているみたいです。これはすごいデータです。

 ちなみに、ウイルスというのは生物ではありません。生物に感染して生きている非生物です。
色々な生き物にとりついて、しょっちゅう遺伝子の変異を起こしてます。こういった最先端の研究者の話を聞いて、自分でどのように体を守ったらよいか、考える必要がありますね。 大変勉強になりました。ありがとうございます。

サイエンスカフェの様子