11月の共通テーマは「文化祭」ということで、東経大の文化祭→学園祭である「葵祭」での講演会のレポートを行わせていただきます。葵祭のいわれについては経営学部ブログに本藤先生が書かれているのでごらんください。
全学共通教育センター教員の相澤と新正、経営学部教員の板橋が加わって活動している「図書部」が葵祭期間中に図書館で講演会を行いました。葵祭期間中の2日間はオープンキャンパスも行われており、それに対応して図書館も一般公開を行っています。そこでそれに合わせて開催した次第です。
初日の10月31日(土曜日)にはコミュニケーション学部の桜井哲夫先生にご登壇いただきました。桜井先生には、「戦後漫画の原像」と題して、今年3月に出版されたご著書「廃墟の残像」をもとにお話をいただきました。
現在の日本にも存在する廃墟の話から、戦後漫画史と現代史を絡めて、広く、深いお話が展開されました。満州から引き揚げた漫画家、手塚治虫の空襲体験、画法の斬新さ、酒井七馬との確執等々、どんどん興味深いお話が展開されます。劇画が国分寺の「ことぶき荘」から始まったことなど、国分寺関連のお話もふくまれ、聴衆の注意を集めました。最後は、福島原発事故に先だって描かれた『コッペリオン』の紹介でお話を閉じられました。
終了後、この内容を授業で扱っておられるか質問がでて、「 戦後史のなかの日本マンガ」で教授されている旨の返答に、一同、学生が羨ましい、の声が上がりました。
2日目の11月1日(日曜日)には経営学部の大岡玲先生(図書館長)に、「虹や月あかりからおはなしをもらつてきた作家・宮澤賢治」という演題でお話をいただきました。ホワイトボードを用いつつ、90分にわたり、精力的に語っていただきました。講演タイトルの「虹や月あかり…」の一節は数少ない生前に刊行された童話集『注文の多い料理店』の序から引かれたもので、賢治の幻視者としての側面に言及されました。そして賢治の人物像に関する様々な見地から、その作品のパターンについて解説されました。作品の概念化、物語化を嫌うこと、全能感の持ち主でありながら時に無力感に苛まれる振れ幅の大きさ、卑怯な大人が大嫌いでありながら本人はかなり悪質ないたずらをしたことを得々と語るなど善・悪を揺れ動くことなど、複雑な人物像をエピソードや作品例に言及しながら描かれました。
両先生とも大変豊かなお話をしていただき、贅沢な2日間でした。ネット時代ですので、講演についての感想がいくつかネット上にあがっています。下にそれらへのリンクを貼らせていただきます。
【桜井先生の講演の感想&レポート】
Facebook上の投稿、Twitterへの投稿
【大岡先生の講演の感想&レポート】
個人ブログ、Twitterへの投稿
なお、ご講演に合わせて、先生方のご著書に添えて、手塚治虫関連本、宮澤賢治関連本の展示を図書館ブラウジングスペースでおこない、聴講者はもとより、一般の図書館見学者にも手にとってご覧いただきました。
大岡先生のご著書と宮澤賢治関連本 |
桜井先生のご著書と手塚治虫関連本 |
「図書部」ではこれまでも、様々なトークイベントなどを行ってきました。その幾つかについて下にリンクします。
トークイベント「宮澤賢治と星と石」(2015年7月9日)
ブックトーク「恋する〈私〉を哲学する」(2015年1月9日)