2016年7月15日金曜日

TKUサイエンスツアー「音を科学する」リオン株式会社見学

「地球の科学」ほか担当の新正です。われわれ理科教員グループは、2011年度の「サイエンスカフェ+」以来、サイエンスカフェ、サイエンスツアーを継続的に行ってきました。今年度からは、近隣の施設を尋ねるツアーをということで、2016年度第1回のツアーを7月14日(木曜)に開催しました。


3限終わりに学習センターで集合。空が暗くなり雷も鳴り出す中出発しました。大学を出て徒歩で西へ向かいます。なんとか強い雨に降られることなく、リオン株式会社本社に到着しました。
講義室へ!

まずミニ講義を受講しました
まず、「音を科学する」と題したミニ講座を受講しました。音波とは何、音の伝播速度、dB(デシベル)の意味など、様々な音に関する題材を、少し裏話を交えつつ講述いただきました。

そして2班に分かれてそれぞれ見学に移ります。無響室、残響室、そして音響科学博物館。

無響室は全面がグラスウールで覆われ、外部からの振動も伝わらないように設計された空間です、入室後まず皆黙って「真の静寂」を経験します。その後声を出したり、手を叩いたりで反射のない空間での音の伝わり方を感覚を持って経験しました。なかなか特殊な雰囲気があり、「普通がいかに良いか」という感想をもらした学生もいました。

逆に残響室は、音がこだまのように帰ってくるので、それぞれが色々な音を発して楽しみました。最後に三三七拍子を、とやりかけたのですが、あまりの残響のやかましさに中断して部屋を退出しました。

音響科学博物館では、種々の音にまつわる物品を見ました。迫力のある蓄音機に目を奪われた参加者もいました。

会社の主力製品の一つ、補聴器も最新のものから一番初期のもの(本体が大きな金属の箱で弁当箱、と呼ばれていた由)を見せていただきました。比較するといかに小さくなったか、ファッショナブルになったかがわかります。

講義室に戻って、質疑応答とまとめをして見学を終えました。

著名な補聴器のみならず、騒音計、地震計といった音や振動に関する測定機器、さらにクリーンルームの微粒子を計測するパーティクルカウンターなど非常に幅広い分野についてのお話を伺い、あっという間に時間が過ぎた印象です。学生には普段意識しない製造業の考え方や面白さが伝わったのではないかと思います。

とても魅力的な見学をコーディネートくださったリオン株式会社の藤岡様、仙波様、矢嶋様、堀様に厚く御礼申し上げます。

本社前で記念写真

「音響科学博物館見学」(2014年6月)

2016年6月29日水曜日

TKUサイエンスカフェ「ブラックホール、ビッグバン、そして次元 ~人に話したくなる宇宙のおはなし~」

 「自然の構造」他担当の榎です。6/23(木)に、「TKUサイエンスカフェ」が、学習センターにて開催され、30名近くの学生・教職員などが参加しました。
サイエンスカフェの様子

 今回は、東京学芸大の小林晋平さんが、「ブラックホール、ビッグバン、そして次元 ~人に話したくなる宇宙のおはなし~」というタイトルでお話されました。「ブラックホール」、「ビッグバン」、「次元」、どれも宇宙に関係する、誰もが聞いたことがある興味をそそる言葉ですが、難しそうです。しかし、小林さんは、それらの本質について、簡単な実験やクイズを交えつつ、分かりやすく、かつ、大変面白く解説してくださいました。実験の一つは、シャボン玉の「泡」を使って、最も基本的な自然の法則である「最小作用の原理」を実感するものでした。その結果は、誰もが思わず「おお!」と声をあげてしまうものでした。ブラックホールの時空を表す難しい数式も出てきましたが、その難しいものを、いかにして簡単なものに変えて本質を見抜くのか、といった話も興味深いものでした。全体として宇宙を理解するための物理学のお話でしたが、難しそうに見える物理学も、結局は「モノの見方を広げるもの」であるということでした。終了後も残った学生を交えて、色々と語り合うことができました。
シャボン玉の泡を使った実験

 サイエンスカフェは、お菓子を食べ、お茶を飲みながら、最先端の科学研究を気楽に学ぶことができる場です。本学では、2011年度から、毎年、複数回開催していますが、日本全国、様々な所で開かれています。例えば、「サイエンスカフェ・ポータル」などに情報が出ています。皆さんもぜひ参加してみて下さい。



・これまでのTKUサイエンスカフェのレポート
 2013年度第1回 「この夏、天の川銀河の超巨大ブラックホールに接近するガス雲の運命」
 2013年度第2回 「宇宙は何からできている?」
 2014年度第1回 「折り紙の数学」
 2014年度第2回 「ブラックホールの謎に迫る!」
 2015年度第1回 「コンテンツの生まれかたと受けとりかた」
 2015年度第2回 「豚インフルエンザについて」

2016年6月20日月曜日

【学問のミカタ】 急ブレーキは危険です

 「自然の構造」ほか担当の榎です。今回は、車、つまり、自動車や鉄道車両といった、タイヤや車輪がついた「乗り物」を加速・減速させる「力」の話です。

熊本電鉄6000形「くまモン電車」の車輪

 物体を加速させるには力が必要です。では、車を加速させる力は何でしょうか?「エンジンやモーターの力で加速するんだ」と思うかもしれません。しかし、車を加速させている力は、タイヤと地面の間に働く「摩擦力」です(鉄道車両の場合は車輪とレールの間の摩擦力)。エンジンやモーターの力ではありません。「エンジンやモーターがなければ加速しないじゃないか?」と思うかもしれません。確かにその通りですが、それは、エンジンやモーターの力でタイヤを回転させることが、結果的にタイヤと地面の間の摩擦力を生み出すからです。あくまでも、車を直接加速させている力はタイヤと地面の間の摩擦力です。もし、タイヤと地面の間に摩擦力がなければ、エンジンやモーターの力をどんなに強くしても、タイヤは空転しスリップするだけで車は加速しません。実は、摩擦力の性質から考えると、「エンジンの力を強くしすぎると、かえって車は加速しにくくなる」ということが分かります。

 ブレーキをかけて減速する場合も同じことが言えます。実際に車を減速させる力も、地面とタイヤの間に働く摩擦力です。ブレーキの力ではありません。もし、タイヤと地面の間に摩擦力がなければ、ブレーキの力を強くしても、タイヤの回転は止まりますが、スリップして滑っていくので車は減速しません。加速の場合と同じように、摩擦力の性質から考えると、「ブレーキの力を強くしすぎると、かえって車は減速しにくくなる」ということが分かります。これは困ったことです。車を運転している時に、車の前に飛び出しがあると、危険を回避するために、急ブレーキをかけてしまいがちです。しかし、急ブレーキをかけるということは、ブレーキの力を強くしすぎるということなので、かえって車は止まりにくくなってしまい、より危険な事態になる場合があります。これは、自転車やバイクでも同じです。この対策として、「ブレーキを強くかけすぎた場合に、わざとブレーキの力を弱める装置」を装備した自動車もあります。その装置って、何か分かりますか?

 さて、私は、「自然の構造」の授業で、以上のことを「摩擦力の性質」について話した後に、応用例として取り上げることがあります。車の加速・減速、というのは、摩擦力の性質をうまく利用したものなのです。摩擦力というのは身近なもので、いろいろなことに利用されています。しかし、摩擦力が発生する理由については、まだ分かっていないことも多く、これを解明することは最先端の科学研究のテーマの一つになっています。

【学問のミカタ】 6月のテーマ「乗り物」
・経済学部ブログ 「公共交通機関はぜいたく品?」
・経営学部ブログ 「車が減ると駐車場は要らなくなる??? 」
・コミュニケーション学部ブログ 「『乗り物』をデザインする力 」
・現代法学部ブログ 「ベビーカー問題にみる、子育て環境のバリアフリー化について」


2016年5月18日水曜日

【学問のミカタ】金でも取れるかね?

お金といえば、紙幣と硬貨がありますが、硬貨とは切っても切り離せない金(きん)のはなしでもしてみましょう。

Bray's Golden Quarry坑口
金はその化学的な侵されにくさから錆ずに美しさが永続すること、またその希少性などから、古くよりその価値が認められてきました。また、現代では高い電気電導度などから工業製品にも広くもちいられ、金属としての価値が減ずることがありません。

本稿を執筆しております新正は地球科学分野を専攻のため必然的に野外調査を行います。そして調査中には通りすがりの人からしばしば声をかけられます(不審に思って?あるいは興味を持って?)。石を調べている旨の返事をした時の定番の反応として「金でも取れるかね?」というものがあります。すなわち世の人々にとって、大地から掘り出されるものとしてまず思い浮かぶものが「金」ということかもしれません。

さて、このように希少価値の高い金は、有史以来どれくらいの量が採掘されてきたと思いますか?
① 一坪規格のユニットバス15杯分
② オリンピック公式プール3.5杯分
③ 霞が関ビル0.8杯分
④ 東京ドーム1.6杯分
※なお東京ドームの体積は霞が関ビルのそれの1.5倍あまりのようです。
(解答は下部にあります)

金が見つかった場所では、いわゆるゴールドラッシュがしばしば起こります。先年学会で南アフリカを訪れた際に、まさに夢の跡を見る機会がありました。 スワジランドにほど近いバーバトン地域にあるBray's Golden Quarryを見学しました。木のはしごを登って坑口にたどり着き、狭い坑道をしばらく行くと大広間に出ます。1885年に品位の高い金鉱床が発見されるとあっという間に基本的に手堀りで地下の大空間が作られたとのことです。
坑道は狭い
中は大広間。明かりは奥で
天井が抜けているため
現在稼働中の鉱山は高セキュリティー
※ゴールドラッシュの模様を示すスライドショー (YouTube)


なお南アフリカは現状も世界6位(2012年)の産金国であり、近くでは今も近代的な金採掘が行われています(Sheba Gold Mine)。



また、国内にも昔の金山跡が観光地化されている場所がいくつもあります。ぜひ訪れてみてください。
史跡 佐渡金山
土肥金山(西伊豆)
今も採掘されている菱刈鉱山(鹿児島県)

 「地球の科学」ほか担当の新正が記しました。

上の問いの解答:②
有史以来の金の採掘量は、約166,600トンと推定されており、体積に換算するとオリンピック公式プール約3.5杯分になるとのことです。
典拠:田中貴金属工業株式会社|金の価値

 【学問のミカタ】 5月のテーマ「お金」
・経済学部ブログ 「経済と言えばお金!!………なの?」
・経営学部ブログ 「利益を増やすために考える2つの視点」
・コミュニケーション学部ブログ 「働くモチベーション」
・現代法学部ブログ 「お金について~ マイナス金利など」
             「お金について~ その2 電子マネー、仮想通貨など」

2016年5月1日日曜日

異国で地震の報を聞いて

国外研究員としてフランスに滞在中の相澤伸依です(フランス語と倫理学担当)。

ご存知のとおり、熊本で大地震が起きました。私は熊本生まれの熊本育ち。遠い国で故郷の災害を眺めることになりました。今回はその中で考えたことを綴りたいと思います。

4月14日、日本は21時すぎ、フランスは14時過ぎ。家で作業をしていたところ、日本の友人たちから熊本で大きな地震が起きたというメールが届きました。慌てて実家に連絡したところ、無事との知らせがあり安堵しましたが、時間が経つにつれて被害の様子が明らかになっていき、不安になります。

仏時間夜になるとフランスの新聞(Le Monde紙のインターネット公開版を閲覧)でも写真つきで報道されるようになりました。印象的だったのは、原発のリスクが記事で大きく取り上げられていたこと。ここでは、地震はまず原発事故と結びつけて考えられるのですね。

4月16日に本震が起こると、フランスでの報道もますます大きくなり、被災地の写真も報じられるようになりました。ここに至って、フランスをはじめヨーロッパの友人たちから心配するメールが届き始めます。「日本で地震があったみたいだけど家族は大丈夫か?」「熊本はノブヨの故郷だよね?」等々。

フランスで暮らして実感するのは、ヨーロッパにとっては、中東やアフリカの方が地理的に近く、政治的・文化的にも重要な位置を占めており、アジアのことまで関心を持つ人は少ないということ。普通のフランス人は、日本のことなんて全然興味ありません。たぶん、私の友人たちも私と友達でなければ、日本の地震なんてあまり気にしなかったと思います。でも、私の故郷だから気にかけてくれたのです。こんなふうに友人達が気遣ってくれるという事実が私を励ましてくれました。

地震から二週間あまりが経った今日、フランスの新聞に地震を報じる記事はもうありません。しかし、友達は気にかけてくれるし、私も熊本の様子を話し続けます。世界に友達を作るというのは、自分の世界への関心を広げることなんだと感じます。同時に、世界に自分の国を伝える、情報発信することなんだとも思います。本当に小さな活動ですが、この積み重ねが違う国の人同士を結びつけるんだろう、国際交流ってこういうことなんだろうと改めて考えたのでした。

さて、東経大にも熊本出身の学生が在籍しています。彼らをはじめとする学生、教職員の有志が、学内に熊本地震被災者への義援金募金箱を学内各所(学生課、学生相談室、図書館、入試課、広報課、校友センター、総務課、教員室)に設置しました。募金箱は学生の手作りです。キャンパスに掲示されたくまモンのポスターとあわせて、チェックしてみてくださいね。

2016年4月25日月曜日

【学問のミカタ】春の星座

 「自然の構造」他担当で、天文学が専門の榎です。今回は星座の話です。星座とは、もともとは、夜空の見かけの星々の配置から連想される人や動物などの様々な事物のことを意味します(なお、現代天文学では星座は別の意味を持っています)。地球は約1年の周期で太陽の周りを公転しているので、季節によって夜空に見える星座は異なります。春に見える代表的な星座としては、うしかい座、おとめ座、しし座、おおぐま座、こぐま座が挙げられます。おおぐま座は北斗七星を含み、こぐま座は北極星を含みます。

2016年4月27日22時の東京の夜空 南の空に木星、火星、土星が見えます。
 「つるちゃんのプラネタリウム」を使って作成


 「おとめ座やしし座がなぜ春の星座?」と思った方もいるかもしれません。星占いの生まれ月では、しし座は8月ごろ、おとめ座は9月ごろですから。これら生まれ月の星座は、黄道十二星座と呼ばれます。これは、天球面上を太陽が見かけ上移動する軌跡である黄道上にある13の星座のうちの12の星座のことを指します。「X月生まれはY座」というのは、「X月に太陽と同じ方向にあるのがY座」、というのが「本来」の意味です。ですから、その月の星座は太陽の方向にあるので、夜は方向が違いますし、昼は太陽の光が明るすぎますので、いずれもその月に見ることはできません。この十二星座が決められたのは古代メソポタミアのころと考えられています。ただし、地球の自転運動の歳差という自然現象が原因で、星座の見える位置や時期は、古代と現在ではズレていることに注意が必要です。

 さて、おとめ座には明るい1等星のスピカがあります。スピカは、地球から250光年くらいの距離にある恒星で、我々の住む太陽系と同じく天の川銀河という恒星の大集団の内部にあります。おとめ座のある天域には、1300個以上もの銀河の巨大な集団である「おとめ座銀河団」があります。このおとめ座銀河団は、スピカや太陽系がある天の川銀河の外側のはるかずっと遠く、6000万光年のかなたに存在します。銀河団は、宇宙で最大規模の構造の一つですが、肉眼で見ることはできません。夜空をありのままに眺めても、真っ暗で何も無いように見えるかもしれませんが、実際は肉眼では見ることができない様々な構造が隠れています。何事でも同じですが、ありのままを見るだけでは本当のことは分からないのです。


 【学問のミカタ】 4月のテーマ「春」
 ・経済学部ブログ 「誕生月と成績との関係とは!?」
 ・経営学部ブログ 「春に売れるものって何?」
 ・コミュニケーション学部ブログ 「春をつかまえる」
 ・現代法学部ブログ 「住民と市民 -『春』によせて-」

2016年4月11日月曜日

ミネラルショーに今年も出展

「地球の科学」ほか担当の新正です。

先週末の4月3日、ゼミ生有志ととともに大宮ソニックシティーで行われた埼玉ミネラルショーに昨年度に引き続き出展してきました。

石の展示、即売などを行うショーは近年拡がりを見せており、各地でとり行われています。自然に興味のある人から、綺麗なモノ好きの人まで老若男女が集まるのが特長です。

埼玉のショーではアマチュアゾーンが設けられており、非営利の団体も出展することができます。そこで昨年よりゼミ活動の一環として参加させていただいています。

お道具類を準備中
今年度は、ビスマスの融解実験の演示とビスマス結晶のかけらを用いたレジンクラフトを組み合わせた実演系の展示を行いました。昨年12月に図書館ブラウジングスペースで行った「ビスマスカフェ」を1テーブルに集約できるようにコンパクト化しました。

ビスマスは低融点(271.3℃)金属のため、電熱器で簡単に溶融して結晶成長させることができます。見物客の求めに応じて学生が溶かして見せます。見ていた子どもたちは、結晶ができるところより、金属が溶ける様子の方が不思議そうでした。

レジンクラフトには多くの方が参加してくださり、学生の指導のもとに思い思いの作品を作りました。昼頃にはお客さんが絶えず、かなり繁盛したので、昼食のタイミングを逸するほど。東経大の卒業生ですよ、と声をかけてくださった方もいました。

商売繁盛中
今回は学生手作りのアンケートも行い、30名近くの回答を得ました。企画の改善につなげようと、現在学生が集約を行っています。

閉店近くに立ち寄ってくださったゼミ卒業生の方も交えてお茶して散会。企画・運営してくれたゼミ生を中心に2016年度のゼミもまもなく始まります。


ミネラルショーに出展(2015年3月29日)
図書部&TKUサイエンス「ビスマスカフェ」(2015年11月26日)